《TOA》結末を変える旅
□食料の村で
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ガラガラと馬車は道を進む。
ルークは日記を書いていた手を止め、横にある小窓から外を眺めてみた。
日は昇り、辺りの草に朝日が反射している。
「……やば、寝てないじゃん」
ルークは朝日を見て初めて、自分が一晩中日記を書いていたことに気づいた。
睡眠不足を心配して、腕を軽く回したり、出来る範囲で体を動かしてみたりしたが、幸い倦怠感などはない。
ルークは伸びをしながら、正面に寝ているティアに目線を向けてみた。
ティアは馬車の壁に寄り掛かるようにして、静かに寝息をたてている。
いつもは軍人であることを意識してか、少々張り詰めた空気があるティアにはある。
が、流石に寝ている時は年相応の女の子と言ったところか。
ズドーン!
衝撃と音が馬車を揺らす。
「な、何!?」
ティアが驚いて飛び起きる。
馬車の外にはルーク達が乗っているのとほぼ同じくらいの大きさの馬車が、少し離れた草原を走っているのが見える。
その馬車の後ろには、見上げるような軍艦が、土煙と地響きを撒き散らしながら、その馬車を追っている。
〔そこの辻馬車!巻き込まれますよ!〕
拡声器を通した声が、草原に響き渡る。
軍艦の砲門が火を噴き、それが地面に当たる度にクレーターができ、轟音が響く。
しかし、猛攻を続けていた軍艦は急停止した。
ルークは停止した理由を知っているため、行者からもらった水を、呑気にお茶のように啜る。
漆黒の翼が爆破した橋が崩れ落ちる音を聞きながら、ルークは水筒の底にあった最後の一滴を喉に流し込んだ。