虚像の騎士
□オルンの王子
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ルーキシスは静かな微笑みをうかべたまま、オルン城の玄関ホールへと入って行った
すると盛大に名前を呼ばれた
「オルレシア王国
王子ルーキシス様
王女レイルリア様
王妃リリアナ様」
ルーキシスは、こういった席での互いの権力の見せつけあいが嫌いだった
ルーキシス達の豪華な服装や乗ってきたきらびやかな馬車は、オルレシアの力を他の王族貴族に見せ付けるためだけのものであることを知っていた
ルーキシス達が入ってきたときの声かけも、大国オルレシアの王族を招待できるというオルンの他国への自慢に使われているということも知っていた
そしてルーキシス達がきたということはオルレシアとオルンの国交の復活を意味していることも知っていた
王子という立場上仕方のないことなのだが、自分の名声を利用されることがルーキシスは嫌いだった
だが、そういった思いを全く顔に出さず、ただ歩いた
オルレシア王国の王子である以上、見苦しい行為などとってはならないのだ
相手の出迎えにたいして、こちらもそれにふさわしい行動をしなくては
おそらくこの席でにおいて最も身分の高い客は、ルーキシス達だろう
そしてその客達が到着したとあれば主催者が出迎えるのが常識とされている
もちろん今回もその通りのようで、ルーキシスの前方には豪華な衣装に包まれたオルン王国の国王一家が近づいてくるオルレシア王国の王族達の出迎えに立っていた
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