神への祈り
□‡第四話‡
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紅のわりと長い髪
色は鮮やかだが梳かすことすら面倒くさいらしく、さらさらとした女性らしいまとまりはない
金色の瞳
吊り上がった目つき
正直凄く怖い
睨まれたら死んでしまいそうだ
身につけている物も見たことのない物ばかりだった
鮮やかな赤のワンピースのような服
ウエストの辺りを細い帯のような紐で何重にも巻いて縛っている
左側だけチャイナドレスのように腰から下まで裂けており、軍人のようなズボンと真っ黒なブーツが見えている
凄く変な格好だ
何かのコスプレか?
いきなり朱衣が顔を上げてこちらを見てきた
「ッ!?」
かなりビビってしまった だが朱衣は無視して話し始めた
「おそらく、精神離脱の一種だと思う。
あんたの身体を奴らが擦り抜けたのも、あんたの声があたしに聞こえなかったのも、精神のみがそこにいて肉体が存在しなかった事により、あんたが“実在”出来なかったから。
精神離脱の前例は、凄く少ないけどない訳じゃない。
ただ、あんたみたいな人間が出来るなんて…
専門家ならわかるかもしれないけど。
今のあたしじゃあ、悪いけど何も言えない。」
朱衣はそこまでをいっきに言い放った
でも、朱衣の言った言葉は僕の脳みそまでなかなか届かなかった
僕はただ、思ったことを口から紡ぎだした
「せ…精神?
人間が出来る…?
奴らって白フード達のことだよね…?
あいつら…いったい何者なの?
どうして朱衣を狙っていたの?」
朱衣は黙った
迷っているみたいだった
少しして口を開いた
「あいつらは天使。
奴らがあたしを狙うのは、あたしが奴らの敵だから」
僕はただポカンとして朱衣をみることしか出来なかった