虚像の騎士

□曇天の不安
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リリアナの娘はレイルリアと名付けられ、二人目の王女の誕生を祝う贈り物がオルレシアの国内外から届けられた

二人目である事と正式な王妃の娘でない以上、彼女の立場は強くないと思われたが、心優しき民はそんな事など気にしてないかの様に各地で祝祭が開かれ、王宮の者を安堵させた


それほど、この国の王家は愛されているのだ


そして、レイルリアの誕生は思いがけない所へも影響を与えた

ロウナだ


彼女は生きようとしていた

もともと生きる希望がなかった訳では無いが、以前の衰弱しきった姿とは違い生気を感じさせた
そして余命一年と言われていたはずの彼女が、アルシアと共に裏庭で戯れる姿を幾度も見かける様になった


……アルシアの為――
小さな娘の将来の為に生きようとしていた


もし自分が今死んでしまったら、アルシアの立場は危うくなってしまう――


王妃であるロウナが死ねば、リリアナが次期王妃として上がるだろう
そうなれば“元”王妃の娘である第一王女のアルシアは邪魔に思われるかもしれない
最悪、城に居れなくなってしまう可能性だってある

そうなれば、幼い彼女がどうなってしまうか想像するのは容易い


……少なくとも辛い立場に立たされてしまう
しかし……わたくしの命はもうもたない
せめて一日でも多く一緒に過ごし、少しでも沢山の事をこの子に伝える事が出来たら――


ロウナは必死の思いで我が子を守ろうとしていた


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