虚像の騎士
□王女と母親
1ページ/5ページ
今から18年ほど前
大国オレルシアの王宮で、一人の王女が産まれた
母親である王妃ロウナと同じ漆黒の髪と瞳を持っていた
子供は「アルシア」と名付けられ、可愛がられて成長した
彼女が産まれる2年ほど前産まれたばかりの息子を亡くした両親は、その子の分を含めてか、アルシアを目に入れても痛くないほど可愛がった
沢山の国民も、王女の誕生に心から喜び、三日三晩に渡る祝祭を開いた
誰もが歌い、踊り、そして笑った
オルレシア王国の王女アルシアは、国民にとっても大切な存在になろうとしていた
亡くなった王子の代わりのただ一人の王の子供
彼女が3つになる時まで、何事もなく幸せが続いていた
これからたくさんの出来事が彼女を、そして王国を揺るがせていくとは知らずに
初期微動は、母親ロウナだった
彼女は、昔から病弱だった
風邪を拗らせたりなどとことあるごとに倒れ、人々を心配させていた
アルシア誕生後は、二度目の出産で体力が残されていなかった
日に日にやつれていき、アルシアが3つになった直後、遂に歩けなくなった
食事も喉を通らなくなった
医者にも、もう二度と立ち上がれないとまで言われた
国王には、あと一年が限界とまで言った
.