虚像の騎士
□夢
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………ルシア……
…アルシア……」
吸い込まれそうなほどの漆黒の髪と瞳の女性が、柔らかい笑みをうかべて呼んでいる
肌は雪のように白く、はっとするほど美しい顔立ちだが顔は白いというより青く、病弱そうな雰囲気を醸し出している
裏庭だろうか、芝生の上に座り花に囲まれるその女性は、溶けてしまう雪のような儚さをもっていた
その女性の元に座る一人の少女
女性と同じ漆黒の髪と瞳で優しく撫でられている
「アルシア………」
不意に女性の瞳から大粒の涙が溢れた
「アルシア…………
………ごめんね…」
「おかあさま…?」
「アルシア…アルシア…」
不思議そうに見上げる少女の前で、女性は涙を流しながら微笑んだ
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