虚像の騎士

□宴・前編
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ルーキシスの歩く先には、派手な衣装の女性達が目立つ 

それも当たり前のことだろう 


クラウスは大国オルンの王子であの顔立ちだ 


地位もあり優しそうな彼のもとへ娘を嫁がせたいというのが親の願いだろう

そして娘自身も望んでいるに違いない 


レイルリアはそんなことを望んではいないだろうが、リリアナはきっとそのつもりだ 




クラウス王子も大変だな



ルーキシスは他人事とは思えなかった
 

事実、まだ18だというのに彼のもとへは見合い話やらがたくさん舞い込んでいた 

王子は、ただ王子というだけでたくさんの人間がまとわりつくのだ 


それが大国であったならもっと多くの人間が寄ってくる 



ルーキシスはそういった上辺だけの関係が嫌いだった

大体、女などには興味がなかった



だが、王子という立場上仕方のないことだとわかっていた 

自分が成人するころ、此処と同じような事がオルレシアでも起こるのだろう 

そしてそれは2年後という、決して遠くない未来なのだ 



ルーキシスは笑顔の奥でしかめっ面になった



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