神への祈り

□‡第二話‡
1ページ/6ページ


「(此処…あの街だ! 
間違いない…

あの女の子は!? 
無事なのか!?)」 

海斗は歩き始めた
何よりもあの少女がどうなったか知りたかった 
[自分が何故此処にいるのか]
そんなことはどうでもよかった

あの少女がボーガンに撃たれていないか 
ただそれだけが心配だった


ひたすら歩く内に、遠くに小さな紅い物が見えた 
それは本当に小さく、霞んで見える
 
だがその紅は、真っ白なこの街でその存在を強く主張していた 


海斗は走り出していた 



どんどん紅が大きくなっていく 

それはやはり少女だった あの時の紅い少女 

「(まだ撃たれてない!!!)」

少女はまだ撃たれていなかった 
立っていた 
海斗に横顔を向けて 
左側に背中を向けて

「(白フードは…!? 
 あの子の後ろ…!?)」 

海斗はもう止まらなかった少女に向かって全力で走っていた 

少女がゆっくりと振り向いて、走ってくる見知らぬ少年に気付いた
金色に光る目が見開かれるのを海斗は見た
少女の口が開くのを見た


だがその口から言葉が発せられるより前に、海斗は少女に飛び付いた 

少女がバランスを崩して海斗もろとも白い地面に倒れ込んだ
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ