神への祈り
□‡第二話‡
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「(此処…あの街だ!
間違いない…
あの女の子は!?
無事なのか!?)」
海斗は歩き始めた
何よりもあの少女がどうなったか知りたかった
[自分が何故此処にいるのか]
そんなことはどうでもよかった
あの少女がボーガンに撃たれていないか
ただそれだけが心配だった
ひたすら歩く内に、遠くに小さな紅い物が見えた
それは本当に小さく、霞んで見える
だがその紅は、真っ白なこの街でその存在を強く主張していた
海斗は走り出していた
どんどん紅が大きくなっていく
それはやはり少女だった あの時の紅い少女
「(まだ撃たれてない!!!)」
少女はまだ撃たれていなかった
立っていた
海斗に横顔を向けて
左側に背中を向けて
「(白フードは…!?
あの子の後ろ…!?)」
海斗はもう止まらなかった少女に向かって全力で走っていた
少女がゆっくりと振り向いて、走ってくる見知らぬ少年に気付いた
金色に光る目が見開かれるのを海斗は見た
少女の口が開くのを見た
だがその口から言葉が発せられるより前に、海斗は少女に飛び付いた
少女がバランスを崩して海斗もろとも白い地面に倒れ込んだ