神への祈り

□‡第二話‡
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少女は海斗を無視して立ち上がった 
そして鋭い目付きでボーガンが飛んで来た方向―白フードがいるはずの方向―を見た 

海斗も急いで振り向いた 
だがそこには誰もいなかった  

「おい! 行くぞ!」

少女は海斗に向かって怒鳴り、いきなり海斗の右手を掴んだ 

「え? はぁ?」

少女の行動に情けない声を出した海斗を少女は無視して腕を引っ張り海斗を立たせた 

そしてそのまま走り出した 

海斗も少女に引かれて一緒に走り出した 




ヒューヒューと風が耳の横を通り抜けていく 

僕らは白い家々の間をとんでもないスピードで走っていた 

性格には目の前の女の子が 
僕はただこの子に引っ張られているだけ 

僕は走るのはあまり速くない 
なのに今は自動車並みのスピードで走っている 


不思議でしょうがない 



急に少女が止まった 
僕もつんのめりそうになりながらも止まることができた 

少女はじっと前を見つめている 
僕も少女の目線の先をあわてて追った 

僕らの真正面には白フードがいた 
一人ではない 
五、六人はいるだろう 

「チッ!」

少女が盛大に舌打ちした

びっくりして少女の顔を覗いた 

少女は険しい顔で白フードを睨み付け、僕の手を握る拳に力を込めた 


そしてそのまま地面を蹴り、白フード達に真正面から突っ込んで行った
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