\zzz/
□あなたと過ごす平凡な日常がイチバン幸せなんです。
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何か楽しい事起きないかなーって言ったら、キッドにそんな受動的に待ってないで能動的に自分から動くべきだって提案されたから散歩に出掛けることにした。
勿論言い出しっぺのキッドも強制連行。何たって言い出しっぺだかんねしょうがないよ。
散歩ってことはつまり歩く訳だ。
ちょっと迷ったけど、お気に入りのヒールじゃ疲れるだろうからぺたんこ靴にした。(キッドはいつもの黒い革靴)
あたし的には、
ヒール
↓
可愛い子ぶって疲れたー、とか言う
↓
しょうがないな、おぶってやるよ
↓
作 戦 大 成 功 !(^ω^)
みたいな流れもアリかな?つーかスクリプト通りでアリアリじゃね?とか思ったけど、平々凡々なあたしがやっても精々イタいブリッ子だなって気付いて止めておくことにした。
帽子被ってマフラーぐるぐる巻いて、いざ楽しい事探しに出発。
冬だから空気が冷たいのは当然だけど、日差しが暖かくていい天気。
何となく、春の匂いがする。
ここのところ任務やらテストやらで忙しかったから、もう冬が終わりかけて春がそこまで来てるのにも全然気付かなかったんだ。
何だか嬉しくなって、スキップしてキッドの3歩先を行く。
「きもちーね」
「あぁ、そうだな」
クルッと華麗にターンを決めて後ろのキッドを振り返ると、コートのポッケに手を突っ込んで鼻までマフラーに埋めてゆっくり歩いてる。
「あれ?寒いの?」
「アヲイは子供体温だから気にならないだろうが、俺にはちょっと寒い」
「子供体温じゃないよ、しんちんたいしゃ?が活発なんだよ。失礼だなぁ」
「新陳代謝、な」
「そう、それ。
あ、帽子貸したげよーか?あたしちょっと暑い」
キッドが頷いたから、あたしは被ってたポンボンのついてる黒いニット帽を被せてあげた。
「うん、かわいーじゃん。似合ってる」
「そうか?」
「ねー、楽しい事って具体的にはどこ行ったらあるかなぁ」
「うむ、公園に行ってみるか」
「うん」
完全防備の着脹れキッドとやや薄着のあたしは公園に向かって歩き出した。(あたしはスキップだけど)
「転ぶなよ」
「大丈夫だって。あたしも一応職人だし運動神経は悪くないと思…いたいよね」
公園に着いたら、ベンチで一休み。
途中で立ち寄ったコンビニで買ったコーヒーと炭酸を飲みながら、二人でぼーっと空を仰いだ。
「なーんもないね」
「ああ」
「空見たら何か見つかるかな、って思ったけど雲一つないしね」
「そうだな」
首が疲れてきたから、あたしは地面に視線を移した。
「あ、」
「何だ?」
「見て見て、たんぽぽのつぼみ。早いなぁ。完全にフライングだよこの子」
茶色ばかりの草むらに、一つだけ緑色。
すごく目立つ。
「めっきり暖かくなってきたからな。これからたくさん生えてくるんだろう。
俺としてはあまり好ましくないが」
「あぁ、キッド花粉症だもんね。」
現代人なキッドは、春先になると鼻水ズビズビ。鼻セレブ標準装備仕様になる。
うん、現代人って大変だ。
「冷える前に、そろそろ帰るか。」
「ん」
敢えて来た時と違う道の帰路を辿る。
行きと帰りで違う道を通るのは、追っ手を巻くのに有効だ云々って前に本で読んだことある気がするけど今はそんなことはないからどーでもいいや。
「結局見つかったのは、楽しい事じゃなくてたんぽぽのつぼみだけだったなぁ」
「大発見じゃないか」
「うーん…微妙」
いつもはそんな風に思った事なんて無かったけど、キッドと並んで歩いてみるとあたしより背が高くてやっぱり男の子だな、って思った。
「手が赤いぞ、大丈夫か?」
「ん?あぁ、大丈夫」
冷たくなってきた手を擦り合わせて息を吐きかけて温めてたら、手を引っ張られた。
「冷たいじゃないか」
「ヘーキだよ」
手を繋いだままキッドのコートのポッケに入れられた。
「これで温かいだろ」
「片方だけだけどね。らしくないんじゃない?左右対称崇拝者さん」
「仕方ないだろう、両方ともすると歩けない」
「あ!そういうば楽しい事見つかった」
「何を見つけた?」
「今日、キッドとこーやって散歩したこと自体がとっても楽しかったです!」
「そうか。じゃあまた行くか、散歩」
「うん」
(次はもう少し暖かくなって、且つ花粉が舞い始める前な)
(えー…次の休みがいい)
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キッド君、花粉症とか鼻セレブとか鼻水ズビズビとか言ってゴメス(^ω^;)