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□初恋マロン
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日直ってめんどい。
日誌書かなきゃいけないからすぐ帰れないし。
相棒は総悟だから役に立たないし。
ポリポリポリポリ。
「何食べてるんですかィ?ポリポリうるせーんだよコノヤロー」
日誌を書いているあたし。
手は動かさず、口を動かし横槍を入れて来る相棒の沖田総悟。
「あぁ、ごめん。ポッキーの新しいヤツ。マジうまい」
「へぇ、何味ですかぃ?」
机に足を乗せて、イスをグラグラさせている。
「マロン」
「ふーん。ありそうでなかった的な」
「そうそう」
「そして、かなり季節外れですよ的な」
「今は冬だけど、栗は秋って感じだもんね」
「俺にも一本くだせェ」
「いいよー…って、ゴメンもうないや」
袋の中を漁ってみてももう何も入ってない。
勿論パズーのカバンみたくナイフもランプも入ってないし、まして夢や希望も詰まってない訳で。
最後の1本をちまちまと大事に食べながら、カリカリと日誌を書く。
えーと、今日の連絡事項って何だったっけ?
「…そんなに菓子ばっか食ってるからダイエット成功しないんですぜ」
「…何で知ってんの」
「この界隈じゃ常識でさァ。ところで、ポケットの中にはビスケットが1つーって歌知ってやすか?」
「知ってる」
カタンと小さな音がして椅子が水平になって、瞬きしたら総悟の顔が目の前にあってビックリした。
ビックリしたから瞬きしたら、その一瞬に口に何か入ってきて、咀嚼していたポッキーが半分くらい無くなった。
「あぁ、確かにこれは美味いですねィ」
「え、あ、ち…ちょっと!何でそーゆー事すんの!」
「ポケットの中のビスケットは増えた訳じゃなくて、割れただけなんでさァ」
「はっ?」
「袋にもうなくてもこっちにはありやしたからね、ご馳走様でした」
「そんなことしなくても、自分で買えば良かったでしょうが!バカ!ドS!!」
「俺は『コレ』が食べたかったんでさァ」
「…信じらんない」
(しょうがねぇだろ、誰かを好きになったのなんて初めてなんだから。
どうしたらいいのかわかんねぇんだよ)
初恋は、マロン味。
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ポッキーマロン味ってありそうでないよね?(・ω・;)