ながいおはなし
□教師だって人間
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「遅ェ」
銀八の後ろ辺りから高杉がひょっこり現れた。
「ごーめーんー!今行く!」
高杉は銀八を押し退けてずんずんあたしに近づいてきて、あたしの右腕を掴んで乱暴に引っ張って起こしてくれた。
「トロいなオマエ」
「うるさいなーあたしは文系なんだよ」
「その割には授業中寝てるけどなァ?」
「ほっといてよ」
銀八とすれ違い様、高杉の口角がニヤリと意地悪そうにつり上がったのと、その時の銀八の悔しそうな顔をあたしは見逃さなかった。
「センセ、ホントにごめんね!
あたしもう行くから、バイバイ」
銀八に手を振って、高杉の後を小走りで追いかけた。
「ちょ、待ってよ。
つーか何ニヤニヤしてんの?不気味だからヤメレ」
「ニヤニヤとかしてねェし。
ホラ、今日もコレ被れ」
「ん」
窓越しに二人を見下ろす銀髪の白衣の男は言いました。
「アレ?コレって失恋とかゆーやつだったり?」
やってらんねーぜ、と呟いて白衣のポッケからチュッパチャップスを取り出して、ガサガサと包み紙をむしって口に突っ込みながら職員室に戻った。
そうだ、校長に提案してみよう。
「校長ー、俺失恋したので今日はもう帰ります」
「何を言っとるんじゃ君は」