ながいおはなし
□S○nyタイマーは実在する
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次の日の放課後、あたしは久々に合同の練習に出て、他のパートと合奏したものを録音した。
帰り道。
他のメンバーとは反対の方向だから、一人で歩くことになる。
重いギターをしょって、教科書なんて殆ど入っていない軽い鞄を持って校門を左に折れたトコロで、誰かとぶつかりそうになった。
「あ、スイマセン」
「…ったく、前見て歩きやがれ」
聞き覚えのある声にハッとして顔をあげると、バイクに跨っている高杉がいた。
「あれ、高杉何でいるの?」
「寝てた」
「何だ、待っててくれた訳じゃないんだ」
「んな訳ねーだろバカ」
「ハイハイ、サーセン。
そういや、今日の練習ダビってきた。
ちょっと聴いてみてよ」
そう言いながらあたしは鞄の中をがさごそと漁って、ピンクのSony製MP3プレイヤーwp取り出して、黒いヘッドホンを高杉に渡した。
「じゃあ再生ね」
右向き三角の再生ボタンを押した。
高杉は煙草を吸いながら、割と真剣な表情でちゃんと聴いている様子だ。
あたしはまた鞄の中を漁って、お昼に買った500mlpetのからだ巡り茶を喉に流し込んだ。