ながいおはなし

□ミッ○ーって、結局はアイツねずみだかんね。そこんとこ夜露四苦!
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「ふーん、意外と真面目なんだなァ。つまんねぇ」





悪夢の幕開けから数日。


「や。私にしたら、高杉が真面目に学校来てる方がよっぽど意外だよ」


「いつ何が起こるかわかんねェからな」


「やなやつ」




例の日から数日、高杉は遅刻もせずに学校に来ている。(授業態度は別として)



「オイ、メロンパン買って来い。ブリックもな」


「ハイハイ」


あの日からあたしは高杉の昼飯調達係に命じられた。


くそう、弱味を握られてるって辛い!



しょうがないから、渋々購買に行く。
まぁいいや、あたしもメロンパン買ってこようと思ってたし。





「おばさん、メロンパン2つ!」

「あらー、ごめんなさいね1つしか残って無いのよ」



な、なんだと!
1つしか残ってないィ?!

でもウジウジしててもしゃーないしなぁ。


「じゃあ1つ」

「はいよ」





なんであたしが自分の分諦めなきゃなんないのよ!

何だか無性に腹が立ってきて、階段を登ってる途中で袋を破って盛大に一口囓ってやった。

「ざまぁみろバカ杉」





「はい、どうぞ」

「どうぞ、じゃねぇよ。何だコレ」

「御注文のお品の、メロンパンとブリックですが何か?」

一口分消失したメロンパンを平然と渡し、高杉の当然の質疑もサラっと流してやった。


「それは認める。俺が聞きてェのは何で一口分足らないかってことだ」

「さぁ、知らない。ネズミーマウスにでも囓られたんじゃない?」

「イイ度胸じゃねェか」

「そりゃどうも」



ぶつくさ言いながらも、メロンパンを食いはじめた。男なら最初から黙って食えよ。




*****

長かった1日の授業が終わったということはつまりパシりとしての1日も終わった訳だ。

それだけじゃない!
今日は花金!ワンダフルフライデイ!ありがとう金曜日!
明日は休み!何しよう。


「あー疲れた!」



これ以上あの男に何か言われるのも嫌だから、そそくさと帰ることにした。

取りあえず今日は夜更かし決定だから、録画しといたギンタマンを見よう。楽しみだ、うん実に楽しみだ。



さて、今日の夜御飯はー…何にしよ。
冷蔵庫と相談して決めよっと。



家に帰り、冷蔵庫を開けたあたしは愕然とする。




「…何も入ってないじゃん」



結局お昼はバカ杉にメロンパンを取られたから、ろくに食べて無い。


この流れで夜を抜くのは、死活問題か。
タイミング良く、腹の虫が鳴いた。



「しゃーない、買い出しに行くか」




脱ぎ捨てたばかりの制服の上着を羽織り、財布を引っ掴んでいざスーパーへ。





そうだ、今日はカレーにしよう。




スーパーでカレーの材料と缶コーヒーとペットボトルのお茶を買って店を出た。
今日は芋もルーも安売りしてて、カレー日和だなぁ。つーかホントに安かった!テンション上がった!安過ぎてむしろ疑っちゃうね!



しかし重い。お茶とか買うんじゃなかった。

両手に荷物を抱え、フラフラしながら帰路についた。


「いってェ!何すんだこのアマ!」



荷物の重さが災いした。
フラついた時に、ヤンキーみたいな人に肩がぶつかってしまったのだ。



「あ、ごめんなさい」

「ごめんじゃすまねーよ!」



激昂したヤンキーが、いきなり殴りかかってきた。



「な…っ!」


「だーかーらー、謝ってんじゃん!耳掃除した方がいいんじゃないの?」



屈んで、避けた。
でも流石はヤンキー。あの時のアホ男みたく、バランスは崩さない。



「言っとくけど、先に手出したのそっちだからねっ!」



あたしの回し蹴りが鳩尾に華麗にクリーンヒット。


膝を付いて蹲るヤンキーに目もくれず、帰路を急いだ。


ったく。こちとらハラ減ってんだよ。
早くギンタマン見てーんだよ。
折角いい買い物してテンション上がってたのに、台無しじゃねーかァァァ!

あー今日は厄日だ。
まぁ買った物は無事だったのが不幸中の幸いか。
これで物が破損してたら、フルボッコだ。半殺しどころじゃ気が済まない。
くそう、これも全部バカ杉のせいだあんにゃろー!



内心文句を言いながら角を曲がると、バイクに跨った巨悪の根源高杉と鉢合わせた。



「あれ、何や…」

「いーから、取りあえず後ろ乗れ。さっきの奴、オマエ探してるぞ」

「げ、マジでか」



お言葉に甘えて後ろに乗る。
発進すると同時に、さっきのヤンキーと擦れ違った。ものすごい形相で睨み付けながら何か言ってる。



「セーフ!助かった、ありがと」

「怪我でもしてパシりも出来なくなったら、お前の存在価値ねェからな。相変わらず無茶苦茶やりやがって」

「怪我なんてしませんー」

「ったく…黙ってりゃ少しは可愛く見えないこともねーのに」

「え、何?聞こえない」

「何でもねーよ」



もごもごと何かを言う高杉をさほど気にせずいると、高杉が口を開いた。


「オラ、着いたぞ」


言われてみると、あたしの家の前。



「あれ、何であたしの家知ってんの?」


「さっき、暇だったから学校から後尾けた」



悪びれる様子も無く答える。



「あぁ、そうですか」



でも一応は助けてくれたし、茶の一杯でもご馳走してやるか。



「ちょっと寄ってかない?お茶くらい出すよ」

「あ、親いんじゃねーのか」

「あぁ、あたし一人暮らしだよ。知らなかったんだ?つーか意外と律儀だね、親とか」

「知るかよんなこと。」

「で、どうする?来る?」

「あぁ、じゃあ邪魔するか」







(つーかさ、何で助けてくれたの?そんなキャラじゃなくね?)

(あのままだとあのイモヤンキーが死ぬんじゃねーかと思ってなァ)

(…うん、否定はしないよ)





――――――――――

たかすぎ は ツンデレ を使った!


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