【狼の間】
□三者三様クリスマス!
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ルッチ編
2人が抱き合う瞬間、激しい音とともにスパンダムは床へ沈み、ジャブラは後方へと引っ張られた。
「・・・ったぁ。何すんだ!!」
「それは、こっちのセリフじゃ。長官ごときがジャブラに抱きつくなど百年早いわい!」
スパンダムの背中に足を置き、そりゃもう、見てるこっちが清々しいくらいの黒い笑みを浮かべてカクが言う。
そのあまりの怖さに、ひっ・・・と声を漏らしつつも、邪魔をされたのが悔しいのか、スパンダムはわあわあと喚きだした。
で、後ろに引っ張られたジャブラはと言うと、引っ張った張本人――ルッチの腕の中にいた。
その事実に気付くと、恥ずかしいのかすぐに暴れだす。
「テメぇー!離せー!!」
「・・・・・・煩い。貴様、少し酔いすぎだ、バカヤロウ。」
「あぁ!?」
ジャブラを抱く腕に力を込めて、そう呟くとルッチはひょいっとジャブラを抱えあげて、扉へと足を向けた。
そして、扉を開くとそのままギャアギャア叫んでいるジャブラを無視して、スルリと部屋を出て行った。あまりの出来事に、みんな開いた口がふさがらない。
その中で、一番に口を開いたのはカリファだった。
「長官。カクに感謝すべきと思いますよ。」
「あぁ、俺も今それ思ったわ。助かったよ、カク。」
「当たり前じゃろ。ルッチの前で、ジャブラに抱きつくなど、自殺行為の何者でもないわい。」
やれやれと言った風に、ルッチの出て行った扉を見た全員が、心の中でジャブラ、ご愁傷様と思ったのは言うまでもない。
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