Chain of the Dark

□Prologue
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教会には祝福の鐘が鳴り響いる。


教会に集まる友人や親類の顔には自然に笑顔が浮かんでいた。


今日はリック・アルメイダとトリシャ・コールマンの結婚式である。

皆が、まだ入場してこない二人を今か今かと待っていた。


すると、音楽が流れ始め、後ろの扉が開き、タキシードに身を包んだリックとウエディングドレスを着たトリシャが入場して来た。

皆が、拍手と「おめでとう」の言葉で二人を歓迎した。

タキシード姿のリックはいつもより凛々しく、トリシャはベールを取らなくてもわかるほど美しかった。

二人は同い年で、誰もが羨む似合いの夫婦だ。だからこそ皆が心から祝福することができた。




二人が牧師の所にたどり着くと、拍手と音楽の音楽の音が止まり、お約束の儀式が始まった。





指輪の交換が終わり、リックがトリシャの顔にかかっているベールを取った。

「絶対幸せにするからね。」
リックが優しい声色でささくとトリシャは微笑み、「うん」と短く呟いた。


いよいよ。という時、後ろの扉が開く音がした。
突然の事に教会にいたすべての人が扉の方を見る。


そこには一人の男が立っていた。
黒い皮のロングコートを羽織り、ゴツい細工のベルトをした黒い皮のズボンを履くという、明らかにこの場には似合わない格好をしている。

人々がざわめいているのも気にせず、男はブーツで足音を鳴らしながらリックとトリシャのいる方に歩き始めた。


歩く男の前に親類の若い男性が立ち塞がり
「キミ、一体何のつもりだ?冷やかしなら帰りなさい」
と、声をかけた。

男は少し長めの黒髪を掻揚げ、堀の深い顔で若者を見つめる。
「ふっ。上手く化けるもんだな」
そう呟くと再び歩き始めた。

「帰りなさい!!キミが来るような所じゃない!!!」若者が声を荒上げた。

すると男は歩みを止め、若者の方を振り向き、腰の後ろに手を回した。


刹那。銃声が鳴り響き、若者が板のように倒れた。

教会に悲鳴が木霊した。
黒髪の男の右手には特殊な装飾が施された銃が握られている。


悲鳴の中、なんとか取り押さえようと、親類達が男目掛けて走っていった。


黒髪の男は不敵な笑いを浮かべ、左手にも取り出した銃を握り、向かって来た親類を次々に撃ち殺した。






あれから、どれだけの血が流れただろう………
教会には男とリック、トリシャの三人だけになっていた。

男が二人にゆっくりと近付く。

リックは放心状態のトリシャをかばおうと、トリシャ前に出て両手を広げた。

男はリックの頭に銃を突き付け、弾丸を放った。

バタリと音を起てリックは倒れた。

「リック………?」
トリシャはリックの体を揺する。
「リック?リック!?リック!リック!!リック!!!!」
トリシャはもう二度と目覚めることのない夫の名を呼び続けた。


「怨むなら…お前の運命と、その男を怨むんだな……」
血塗れになった男はそう呟き、扉に向かって歩いて行った。


教会には再び鐘の音が響き、トリシャの声を書き消していた。
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