LOST FUTURE

□第一話 -復活-
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山形県 某所。

薄暗い空間の中、電灯の明かりを頼りに、14人で構成された調査隊が発掘作業をしていた。

「うわぁ〜マジでテンション上がるよこれ!世紀の大発見ですよ!」
男は興奮し気味で作業をしていた。

「デカい声出さないでよ、響いてうるさい」
耳を塞ぐ仕草をしながら男の隣りで作業していた女が言った。

今、二人は棺に彫り込まれた碑文にたまっている砂ぼこりを刷毛で取る作業をしていた。

女は「ふぅ」と腰を下ろし、あたりを見回す。

棺を納めるには広過ぎる空間にぽつりと置かれた三つの棺。彼女が作業するのは真ん中の棺だった。

そして、異様な存在感を放つ巨大な石盤。

石盤にはビッシリと碑文が彫り込まれている。

「しかし、デカいっすよね〜あの石盤。」
男が女に声をかけた。

そう、石盤の大きさは尋常じゃなく、ゆうに15mは越えている。

「確かに大きいよね。てかホントになんなんだろ?この遺跡」

「まったく新しい埋葬形態。間違いなく新発見の文明ですよ。まさしく世紀の大発見ですよ!」

「また声おっきくなってる。」

たわいのない話をしながら作業をしていると、チームリーダーが大声をあげた。

「棺開けるぞ!呪われたくない奴は離れてろ!」

巨大な空間に笑い声が響いた。

専用の道具を持って来た調査員が作業をしようと、真ん中の棺に近付いた。

作業をしていた二人も少し離れて見物をすることにした。
自然と他の調査員も棺の周りに集まって来た。

「・・・・せ〜の!1、2の3!」

棺のフタを開け、フタを地面に置く。

調査員一同が中身のミイラを見ようと、棺の中を覗き込んだ。

「な、なんだよ!これ!」

一同は驚愕した。
棺の中身は、なんとミイラになる前の・・・そう生身の人間の女性だったのだ。

鼻筋の通った整った顔立ち、雪のように白い肌、そして背中まで伸びた艶やかな髪。
着ている服は恐らく、その文明の衣服だろう。スカート丈の長いワンピースに着物の袖をつけたような形をした白い服だった。
そして衣服の上から分かるほど、スタイルは抜群だった。

「ミイラじゃない・・・・?そんな馬鹿な!?何の冗談だよ!!」

隊員達が驚きを隠せないでざわついていると、棺の中の女性が、いきなり目を開けたのだ。
右目は赤く、左目は黒い瞳が瞬きをする。



「********」意味不明な言葉を女性がつぶやいた。

「な、何言ってんだコイツ?」

棺の中の女性は上半身を起こして、喋ってた隊員の方を見て

「これがこの時代の言葉か。」と喋ってみせた。

「に、日本語を、喋った!?」隊員達のざわめきは一層大きくなった。

女性が周りを見回した後、隊員達の顔を一通り見ると

「まずは礼を言おう。復活させてくれてありがとう。だが・・・」

両端の棺にヒビが入る音が隊員達には聞こえなかった。

「それは武具か?」女性が隊員の一人が持っていたビデオカメラを指差した。

ビデオカメラの画面にはしっかりと女性の姿が写っている。

が、次の瞬間

ビデオカメラが地面に叩き付けられた。

それと同時にカメラを持っていた隊員が倒れた。

倒れた隊員の後で短い白髪の男が笑っている。 右手にはカギ爪のような武器がついていた。

と、同時に刃には血がべっとりとついている。

そう、倒れた隊員の血が。

「キャァ〜〜〜!!」

悲鳴が響くと今度は悲鳴をあげた隊員を、さっきの男とは違う巨体の男が隊員の頭を掴み、持ち上げ、そして首を有り得ない方向に曲げた。

隊員達は悲鳴を上げながら一目散に逃げ出す。

女性も棺から出ると二人の男とアイコンタクトを取り、こう言った。
「さぁ、また始まる。戦いが、争いが、恐怖が、絶望が、そして・・・この世界が変わる」

逃げて行った隊員達を追いかけるように三人は歩き始めた。
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