白黒羽扇


□黒が白に"染まる"とき・2
2ページ/5ページ




…っ……!? … … …。




落ち着け、いや、落ち着いてはいるぞ?


しかし、何故このような所にこ奴が!!





当の使者はというと、穏やかな笑みを浮かべた表情は一切動かさず、その視線は我が主、曹操に注がれていた。

身なりは違えど、間違いなく、以前魏の領地内の町の一角で、手を握る等してきた奴だ。あの時、「いずれまた会うことになる」とか言っていたが、まさかこんな形で再会しようとは。蜀の者だったのか…。





ん?蜀の者が、なぜ変装してまで魏の領地内へ?





喉が貼りつくような不快感を覚え、こくりと唾を飲み込んだ。





「蜀から参りました、諸葛亮孔明と申します」

涼やかな声が、しんとした空気を切り裂くように響き渡った。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ