白黒羽扇
□黒が白に"染まる"とき・2
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朝や晩はかなり冷え込むようになったこの頃。それでも昼間は暖かい。
今日は小春日和か。
筆を置き、そろそろ謁見の間へと行かねばならぬ時か…とぼんやり思う。今日は蜀からの使者が訪れているという。
自分も立ち合うのは…正直面倒なのだが、君主自ら命じられたとあっては仕方ない。
出席者が全員着座したところで、使者が部屋に通された。
これも仕事の一部だ、粛々とこなし、終わったら、自分の仕事に戻るだけだ。
さっさと終わればよいのだがな…。
ふと顔を使者の方へ向けた。