白黒羽扇


□黒が白に"染まる"とき・1
1ページ/6ページ




最近、何かがおかしい。

頭の中…いや、胸の中に何かが住み着いたようだ。



何か……?



いや、本当はわかっている。認めたくないだけだ。






本日何度目かの溜息をつき、目の前に積み上がった書簡の一つに手を伸ばした。

余計な事は考えるな。その間に仕事はどんどん溜まってゆく。


それでも、気持ち良い風を取り入れるために開け放たれた窓に、つい目が吸い寄せられてしまう。









ここは、魏の都の中枢から少し離れているとはいえ、敷地内である。警護も配置されている。

こんな窓から、奴が来るなどあり得ないし、あってはならない。




しかし、この小さな窓から見渡せる空は、奴につながっているのだろうか?

奴も、同じ空を眺めているのだろうか?
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ