白黒羽扇


□諸司馬クエスト
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04. レベルアップ


「ふぅ。無事終わりましたね。仲達、大丈夫ですか?」

さすがに腰が抜け、その場にへたり込んだ仲達。孔明が差し伸べた手は、反射的に払いのけられた。

「ちょ、ちょっと待て!何やら、訳分からないうちに終わったのだが!貴様、何をした?」
「あぁ。貴方の魔法に合わせて、私の光魔法を打ち込んだ。それだけですよ」

それならば、闇魔法に合わせなくても、孔明が一人で勝手に唱えればよかったのではないか?結局、魔法の無駄打ちをさせられただけのような気がして、仲達は苛立ちを感じた。

「もしそうしたなら、今回勝てなかったでしょうね。貴方の魔法があったからこそ、あのダメージが出せたのです」

仲達の問いに、孔明は微笑みながら答えた。

「私の特技は、あくまでも傷を癒したり身体能力を高めるための魔法なのです。攻撃魔法も知識として一応持っていますが、攻撃自体、実は苦手でして。私の光魔法を単体で用いていれば、先程の敵にかすりもしなかったでしょう」
「どういうことだ?」

孔明は一度深呼吸をしてから、一気に話し始めた。

「先程の闇と光の複合技の仕組みは、こうです。

まず、光魔法というのは、基本的に闇の力を察知する能力が高いと言えます。闇に引き寄せられ、闇の中で存分に力を発揮するのです。

ここで、貴方が放った無数の闇の炎の玉。これに合わせて発生させた光の矢は、元々強力な光の力をもつ一本の矢なのです。本来ならば、光の矢一本で強烈なダメージを与えられるところですが、私の力では期待できない。そこで、貴方の闇の炎の玉に取り込ませてみたのですが、一本の矢がそれぞれの闇の炎に引き寄せられて無数の矢に分裂し、同時に闇の力で光の力が増幅されました。

次の闇の力により引き起こされた氷の嵐には、光かがやく嵐を同化させ。闇の力により呼び出された雷には、光の槍を取り込ませて敵を貫いた…ということです」

すらすらと淀みなくなされた説明に、仲達は眉をひそめた。

「長いな」
「申し訳ありません。ですが、これくらい、貴方でしたら一度で理解できたのではありませんか?」
「ふん……」

悪魔界にいた頃、知略にかけてはそこそこ優れている方だと自負していた。ところが地上に降り立ち、孔明に出会ってからは、自分にはない知識を持つ孔明に教えられてばかりで、やや気後れしていた。その孔明から、初めて認められたような気がする。

何となくくすぐったさを感じたのを悟られぬよう、仲達は鼻を鳴らして視線をそらせた。


孔明はレベル25になった。
仲達はレベル26になった。


【04.おわり】

…05に続く…
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