連載開始前からアニメ化が内定、5週連続カラーという大々的な扱いで始まった本作であったが、初回こそは高い支持を得たものの、徐々に人気は落ちてアンケート順位が最下位に近いこともあった。担当の鳥嶋に「主人公が地味だ。だから人気がないんだ」と指摘された鳥山は、以後「強さを追い求める主人公」というテーマを作品に持たせることになる。その発想から天下一武道会が始まり、主人公孫悟空のキャラクターも確立され、人気も急激に上昇する。
鳥山自身は、マジュニアとの決着をつけたところで物語を完結させる予定だった(連載終了後のインタビューでは、「ピッコロ大魔王編が描いていて一番楽しかった」とも語っている)。この為、第23回天下一武道会編では残されていた伏線の回収や、悟空の成長、成長したチチとの再会と結婚、天津飯との決着等それまでの総決算的な内容となった。しかし、当時すでにアンケートで不動の1位であった本作の終了を編集部がそう簡単に認めるわけもいかず、連載は続行されることになる。
そしてナメック星編が佳境に入る頃には、『ドラゴンボール』の人気および経済効果は、国内のみならず世界的な規模に拡大していた。それ単体で「一大産業」と呼ばれるまでになった本作は、その人気と経済効果の大きさゆえに、鳥山や編集部の意向だけでは連載の有無をコントロールすることが不可能な状態になってしまうという、かつてない規模の漫画作品となっていた。
『ドラゴンボール』の連載が終了すれば、ジャンプ本誌の発行部数に与える影響のみならず、発行元の集英社、メディアミックス展開で中核をなしてきたバンダイ・フジテレビ・東映動画、その他この作品に関連した各種ビジネスを行っている各企業の業績や株価に対して多大な影響を及ぼす事が懸念される。そうした判断から、とにかく終わらせる訳にはいかないという状況が否応なく形成されるに至った。
本作の終了については、鳥山の強い要望によるものであったとはいえ、最終的には関係各社のトップ級会議などの調整や各社の上層部による経営判断すらをも必要とし、関連企業の株価・業績への影響を最小限に抑えるべく様々な配慮を行いその上でようやく連載を完結終了させるという、日本漫画史上でもある意味で前代未聞の事態となった(ブウ編開始前、鳥山はブウ編が終わったら連載を終了するという約束を集英社と取り付けていたが、当時の編集長であった堀江信彦はその事実を途中まで知らされていなかった。理由は不明。)
こうした背景もあって、『ドラゴンボール』は約10年間にも及ぶ長期連載となった。最終回もまた新たな展開を匂わせる様な形で終わっているが、最終ページで鳥山本人が完結の経緯を説明するなど、最後の最後まで波乱含みの展開が続いた。

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