発火能力ーパイロキネシスー
□FILE1 旧校舎怪談
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「まっ、まさか……今度こそ本当に幽霊じゃ……!」
麻衣が震える声で言うと、映像の中の少女がカメラの範囲外に去った。
その直後。
ベースの扉が開き、姿を見せたのは件の和風美少女。
「でっ、で、出たああああ!!」
麻衣がとっさに、近くにいたクロームに抱きつく。
「麻衣、おっ、落ち着いて……」
「そうどす、麻衣さん。この方は幽霊じゃありまへん!」
「……君まで駆り出すとはな。校長は余程、この旧校舎をなんとかしたいらしい」
「有名人、なのか?」
綱吉が呟く。
「ええ。日本のテレビ番組なんかにも、霊媒師としてよく出てらっしゃる原真砂子さんどすな」
「へえ……。どういった方です?」
「口寄せを得意とする霊能者。日本では恐らく一流だ」
「あなた方も、校長先生に呼ばれたんですの?」
真砂子の口調は、上品なお嬢様という見た目通りのものだった。
「ええ。渋谷サイキックリサーチの渋谷一也です」
「そう。……あたくし、あなたとどこかでお会いした事がございまして?」
「……気のせいでは?僕の記憶にはありませんが」
「あれって、なっ、ナンパ!?」
「麻衣、この状況でそれはないだろ……多分」
幽霊ショックから回復した麻衣の小声での言葉に、綱吉が笑いながら突っ込む。
「君の視た限り、ここに霊はいますか?」
「おりません。視ないどころか、気配もまったく感じませんもの」
周りの戯言など気にした風もなく二人の会話は進み。
「綱吉、どうなの?」
「そうだなぁ……変な感じはするけど、霊じゃないと思う。どっちかっていうと、人間の感情に近いな。嫉妬とか自己顕示欲とか……あと、焦り?がこの中に渦巻いてる感じ。中心にいるべき人間が辿れない」
気がつけば、ベースにいる全ての人間が綱吉を見ていた。