発火能力ーパイロキネシスー
□FILE0 邂逅
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最初に気づいたのは、麻衣だった。
「SPR」の助手であるリンに誤って怪我をさせ、カメラを壊してしまった麻衣はしぶしぶながら所長であるナルの助手に駆り出されていた。
「ナル!ここ、いきなり人が!」
麻衣が指差した映像の一つに、4人の少年少女が映っている。
ジョンの紹介を受け、若干緩んだ空気が張り詰め、ナルが冷静に映像を巻き戻す。
「っ、ほら!」
今度は全員……ナルと麻衣だけではない、同じように旧校舎の件を解決してほしいと依頼を受けたジョン、綾子、ぼーさんの3人も確かにその姿を確認していた。
「……温度は下がってないな」
「幽霊ではないということでっしゃろか」
「でも、人間があんな風に急に出てくるなんて無理だよ!」
「そうだな。それに、まだ幽霊でないと決まったわけではない。……幸い、まだそこにいるらしい。様子を見に行くぞ」
ナルの告げた通り、その4人はどこか戸惑っている様子で、辺りを見回している。
「アタシも行くわよ!」
「俺も。お手並み拝見と行こうかな」
綾子が慌てて告げ、ぼーさんが飄々と笑うとベースになっていた部屋から外の廊下に出る。
「二階の突き当たりの部屋だ。行くぞ、麻衣」
「う、うん……」
年長者である2人に続く形で、麻衣達も慌てて(ナルは冷静だったが)その後を追った。
「ここだな?……開けるぜ」
ぼーさんが後ろに着いてきていたナルに確認を取る。
ナルが頷いたのを認めてから、ぼーさんが一気に扉を開けた。
瞬間。
襲ってきたのは、威圧感に溢れた気配と……トンファー。