発火能力ーパイロキネシスー
□FILE1.5 能力テスト
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麻衣が、SPRで正式にバイトを始めてから少し経ったころ。
その日は、全員がそれぞれ割り当てられた仕事に取りかかっていたが、ナルが所長室から顔を出して、なにやら4つのボタンのついた箱のような装置を持ってきた。
「ナル?なにそれ」
麻衣が興味津々といった体で訊ねると、ガラステーブルの上に装置を起きながらナルは口を開く。
「綱吉の能力テストだ。綱吉、僕の向かい側に座ってくれ」
「本当にやるのか……」
溜め息混じりに言いながら、綱吉はナルの向かい側に座る。
「そこに4つのボタンがあるな?そのボタンは、どれか1つ押される度に、どこかのボタンが1つ光るようになっている。どのボタンを押したかは関係なく、ボタンは光る。これをまず、1000回やってくれないか?」
「……つまり、光るボタンを事前に見極めればいいのか?」
「そういうことだ」
「了解した。いつでもいいぞ」
麻衣だけでなく、雲雀達三人もその状況を見つめている中、実験が開始され、綱吉はボタンを押した。
かなりの時間を使ったのち、1000回の実験は終わった。
結果は……
「全部当たってる!奇跡みたい……」
「麻衣、馬鹿なのか?」
「なんだとう!?」
ナルは奇跡だ、という麻衣の言葉に皮肉で切り返すと、再び綱吉に向き直る。
「次はこのクリップを指先につけてくれ。今度は、光るボタンを当ててしまったら、指先に電流が流れる仕組みになっている。これも1000回やって欲しい」
「なるほど、つまりそれを回避しろ、と。分かった」
綱吉が、自分の人差し指をクリップで挟む。
再び、テストの始まり。
結果は、当然。
「凄いな。モノの見事に全部回避したか」
こちらは一度も光るボタンを押すことなく、テストが終了した。