発火能力ーパイロキネシスー
□FILE0 邂逅
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その日は最悪な事に、他マフィアとの抗争の真っ只中だった。
ボンゴレのシマに住む一般人に麻薬を売りつけたマフィアに、綱吉が怒り、全面戦争状態に陥っていたのだ。
勿論、部下に戦わせて自分は最前線に出ない、なんて事がなにより嫌な綱吉は当然のごとく先陣切って戦いに身を投じている。
隣には、同じく戦いにおいて前線に出ない、なんて事が(意味合いは違うが)大嫌いな雲雀が、周りには今回綱吉の背中を守っているクロームと骸が、それぞれ戦っていた。
当然、卑怯な真似をするような小物マフィアにボンゴレが負けるハズもなく。
抗争は一方的な綱吉達の勝利で終わりを迎えようとしていた。
「あらかた終わったか……」
「後残ってるのは後ろに隠れてやりすごそうとした、あちらのボス位でしょう」
「もう戦意喪失してるしね。……つまらない」
「隼人達に連絡。敵のボスの正確な位置……割り出してもらう」
クロームがそう言って携帯を取り出しかけた瞬間だった。
『ごめんね』
「は?……恭弥、なにか言ったか?」
「……いや。今の声はなに」
『ごめんね。助けて、欲しいんだ』
「……一体どういうことです?」
「どこから……聞こえてる、の?」
『お願い……来て!』
一際強い声がしたその時。
地面が揺れたわけでも、黒い空間が現れたわけでも、ましてや辺りが光に包まれたわけでもない。
だが、次の瞬間。
4人の姿はまばたきする一瞬の間にその場から消えていた。