刹那連鎖
□魔法使いと死ぬ気の炎〜悪ノ。〜
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「……えーっとすみませんリボーンさん?俺の聞き間違いだよな?今なんて言った馬鹿野郎」
最初は引きつった顔で、次の瞬間、リボーンの胸倉をひっつかんで綱吉はそうのたまった。
周りを見れば、同じく一様に「は?」という顔をした雲雀達5人が、呆然とリボーンを見ていて。
「だから、言ってんだろ。交流会んときにやった劇(サンドリヨン参照)が好評で、今度のダンスパーティーのシメにまた劇を頼まれたんだよ」
飄々と告げるリボーンに、当然のごとく綱吉はキレる。
「『頼まれたんだよ』じゃねえんだよ!断れよ!いくら自分に被害が無いからってお前ふざけんなよ!?」
「仕方ねえだろ!?今回は純粋な生徒投票−−しかもボーバトンとダームストラングの連中も含めたやつで決まったんだ!てめえらも書かされた覚えあんだろ!?」
「……ひょっとして、あのアンケートですか?」
最初に思い当たったのは骸らしい。
その後、綱吉達も思い出したようなのだが、思い出した後が悪かった。
「ああ……そういや、なんかあったな。どうでも良かったから無回答で出した気がするけど」
綱吉の言葉に、5人も一様に頷いて。
「……お前ら、それは決められても文句言えねえだろうが。だいたい、生徒の90%以上がお前らの劇を希望してんだ、他のになんか出来るわきゃねーだろ」
「…………ちくしょう、今回は言い返せねえ」
沈黙ののち、綱吉はそう吐き捨てた。
「で、今回のはどんな話なんだ?」
山本だけがどこか楽しそうに訊ねると、リボーンが懐から台本らしきものを取り出して口を開いた。
「今回も前回と同じ奴が作ったらしい。また曲をモチーフにしたんだとよ。あ、今回は三部構成になってるからな」
「三部!?」
骸が驚きの声を洩らす。
「そうだ。曲名はそれぞれ『悪ノ娘』『悪ノ召使い』『リグレットメッセージ』っつうらしい。それと、今回の主役はツナじゃねえ」
そう言って取り出した配役には。
黄の王女:クローム髑髏
黄の召使い:六道骸
黄の兵士:山本武
青の王子:雲雀恭弥
緑の娘(白の娘):沢田綱吉
赤の剣士:獄寺隼人
……etc.
の文字。
「主役は双子設定らしい。だからクロームと骸が選ばれたんだろ。それと、黄の兵士は脚本を書いたやつのオリジナルだそうだ」
リボーンの言葉と、配役に綱吉が首を傾げて。
「三部作にしては、ずいぶん主だった役が少ないな」
「ああ。モブはかなりいるらしいんだが、それはスリザリン生にやらせるんだそうだ。それと、このシリーズはもっと沢山の派生曲があるらしいんだが、あえて主な3曲のみを使うらしい」
「……ふぅん。で、これを演じればいいわけ?」
雲雀がパラパラと台本をめくる。
「……悪逆非道の王女、なんてクロームには難しくないですか?」
横からのぞきこむ骸が、わずかに顔をしかめる隣で、クロームも無言で頷いた。
「その点は問題ねえ。予め台本を変更する許可は貰っといた」
「……容易、周到……」
「何がなんでもやらせたいんっすね、リボーンさん……」
クロームと獄寺のため息は、6人の心を代弁するのだった。
さぁ、劇が開幕する。