ロック受話B

□城
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おはようございます。
今朝は大変良いお天気です。
こんなにすがすがしい朝に寝坊などしている人は、非常にもったいないですね。
まあそんな怠け者はこの城には存在しないでしょうが。


もうすぐ、遠い大陸の国から、国王様が見えられます。
その国の国王様とは先代からの親交があり、フィガロにとっては大切なお客様です。
・・・だというのに、エドガー様はまだ起きてこられません。
一体何をしているのでしょうか。
朝寝坊などという事はないでしょうが、いささか心配になってきます。

あ・・・、もしかすると・・・・・。
・・・朝から情事に及んでいるのではないでしょうね・・・。
それは充分にありえます・・・。
あの御方は恋人の事となると見境がなくなりますから・・・。


そうこうするうちに、とうとう国王様がお見えになられました。
ああ、エドガー様・・・。
お願いですから早く降りてきてください・・・。
貴殿がいなくては、私共もどうする事もできません。
さっさと来ないと砂漠に埋めますよ。

それからしばらく待ってみましたが、エドガー様は一向に現れません。
国王様達との間を持たせる事にも限界があります。
このままでは国家間の問題にまで発展し兼ねません。
仕方がないですね・・・。
久々に通信機の出番ですか・・・。
私は取り急ぎ城の者に対応を任せ、エドガー様をお呼び出しする事にしました。

内線ボタンを押し、回線が繋がるまでしばし待ちます。
この通信機は、緊急時のみの使用が許可されていました。
エドガー様・・・早く出てください・・・。

しかし、私の耳には虚しいコール音だけが鳴り響きます。
いつまでたってもエドガー様は出ません。
このやろう・・・・・、・・・訂正。
エドガー様、どうかお願いします・・・。

コール音を20回程鳴らしたところで、ようやく回線が繋がりました。
「はい、こちらフィガロクリーンサービスです」
・・・・・掛け間違いでしょうか。
いえ、これは明らかにエドガー様の声です。
「・・・・・は?・・・陛下・・・?」
エドガー様が新しい商売を始められたなど聞いていません。
「いま、お掃除中」
ふざけている場合ではないでしょう。
「あの・・・、陛下、今なんとおっしゃられたのですか?」
話している途中で通話が切れました。
というより切られました。

エドガー様・・・。
貴方という御方は・・・。
私の怒りが、静かに燃え広がっていきました。
あとで覚えておきなさい・・・。
私を怒らせた事を後悔するんですね・・・。

私は再び受話器を取り上げ、内線ボタンを押します。
そしてまた虚しいコール音。
20回・・・。
30回・・・。
50回・・・。
そのままコール音が鳴り止む事はありませんでした。

私は叩きつけるように受話器を置いて、すぐにエドガー様の元へ向かいます。
お言い付けなど気にしている余裕はありません。
緊急時なのです。
勝手にエドガー様の室に入る事ぐらいなんでもないでしょう。

「あ・・・」
室に向かう途中で思い留まり、歩みを止めます。
どうせなら、神官長様にもお願いしてみましょう。
私だけでお迎えにあがっても、追い払われるのが目に見えています。
結局駄々をこねられてとんぼ返り・・・などという事にもなり兼ねません。
その点、神官長様がご一緒であれば、エドガー様も観念なさるでしょうね。
私は大急ぎで神官長様を探し出し、連れ立ってエドガー様の室へ向かいました。


「神官長様は、こちらでお待ち頂けますか?」
扉の前で、一旦立ち止まります。
「ええ、そうした方がよさそうね」
神官長様も私の言葉をすぐに理解して、僅かに目配せをしました。
あの御二方は、たぶん行為の真っ最中であろう事が予想されます。
そのような濡れ場を目の当たりにしてしまったら、心停止すら起こさないとも限りませんからね・・・。

では、いざ出陣。
「陛下!!」
私は勢い良く扉を開けて、ズカズカと部屋の中に入り込みます。
「・・・んっ、・・・あ、ああっ・・・、」
途中、部屋の奥の方から、ロックの喘ぎ声らしきものが聞こえてきました。
思った通りですね・・・。

「陛下!何をしておられるのですか!賓客がお待ち兼ねですよ!」
私は精一杯に怒気を奮い立たせ、エドガー様を叱り付けます。
「・・・勝手に入ってこないでよ・・・」
エドガー様はロックの上に覆い被さりながら、不貞腐れた声を洩らしました。
ああ・・・、やはり神官長様を待機させておいたのは正解ですね。
「だいたいなんですか!フィガロクリーンサービスなどとふざけた掃除屋は!」
自分で言ってて少し恥ずかしくなります・・・。
本当になんなのですか、お掃除屋って・・・。

「ああ!またロックにそのような事をして!」
よく見れば、ロックの手が拘束されているではありませんか!
なんという淫らな愛の形でしょう!
「ちょっと!勝手に外さないでよ!」
紐を解きにかかると、エドガー様が憤慨したように私の手を押さえつけます。
「陛下はさっさと支度しなさい!」
色んな意味で興奮しすぎて、思わず命令口調になってしまいました。

「エドガー!何をしているの!早く来なさい!!」
ああ!ナイスです神官長様!
「な・・・、なんでばあやまでいるの!?」
神官長様の声に驚いて、エドガー様が呆気にとられた顔で私を見ます。
「どうせこのような事だろうと思って応援をお願いしました」
私の思惑通り、エドガー様が動揺しています。
随分効いているようですね。

エドガー様は諦めたようにベッドを降りると、ようやくお召し替えを始めたようです。
イイコですね、陛下。
わがままな陛下も好きですが、素直な陛下の方が、私は好きですよ。
などと和んでないで、私はロックのお相手をしなければ。

豪華なベッドに身体を預けると、ロックの上に圧し掛かります。
「んっ、う・・・、や、やあ・・・、」
ロックが泣きながら、切願するように私を見ます。
・・・相当出来上がってしまっているようですね・・・。
こんなにビクビクと身体を悶えさせて可哀想に・・・。
ああ、そういえば紐も解いてあげなくては。
先程はエドガー様に邪魔をされて、中途半端になってましたからね。

私の伸ばしかけた手が、宙で止まります。
いえ・・・そのままでも構わないかもしれませんね。
ロックは酷い抱き方をされた方が悦んでしまうみたいですから。

私はロックの足を大きく開かせて、内腿にキスを落とします。
「あっ、あっ・・・、やだあ・・・、も、イかせてっ・・・」
薄い皮膚をぺろりと舌で舐め上げると、ロックが甘い声を洩らします。
切なそうに顔を振って、私に慰みを乞います。
途中で放り出されたせいで、かなりつらそうですね。

「可愛い」
「・・・んっ、あ・・・、はあっ・・・、あ、・・・」
エドガー様が忙しそうに髪を束ねている光景を横目で見ながら、私はロックの下肢を愛撫します。
「陛下、あとは私が引き受けますのでご安心を」
陛下でなくとも、ロックはこんなにも可愛く鳴いてしまうのですから。
「ああああっ!!やめてよーーー!!」
エドガー様がこちらの様子に気付いて、慌てて近付いてきました。
いいから早く行ってください。

「あっ、んん・・・、あっ、あん・・・・、大臣さんっ・・・」
陰茎の周りを舐め回してあげると、ロックが気持ち良さそうな声を出します。
「ロックもそんな嬉しそうに喘いでないで!!」
エドガー様が私の身体を押さえつけて妨害してきます。
凄く邪魔なんですけど。
「エドガー!!グズグズするんじゃありません!!」
エドガー様の叫び声に乗じて、扉の方からも神官長様の怒鳴り声が聞こえました。
もっと言ってやってください。

エドガー様が泣きそうな顔で、私を睨みつけます。
そういう顔も可愛いですよ、陛下。
「ロック、すぐに戻ってくるからね!!」
エドガー様が悲痛に吐き捨てると、ようやく扉に向かいました。
「いってらっしゃいませ、陛下 どうぞごゆっくりー」
追い撃ちをかける事も忘れずに。
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