ロック受話A

□痕
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午後の穏やかな日差し。
ほのかに立ち上る熱が、城内に広く行き渡ります。
今日はこれといった大した来客もなく、至って静かなものです。

こんなに平穏な日和だというのに、私の心は晴れませんでした。
朝から続いている頭痛のせいもあるのでしょうが、原因は別のところにあります。
その原因は・・・・・。
やめておきましょう。
男の愚痴は、醜いだけです。
とにかくイライラがおさまらず、私の精神は相当荒れていました。
これ以上良くない事が起こったら、爆発してしまいそうです。
苛立ちを抑えながら職務をまっとうしていましたが、すでに私は限界でした。
とても仕事にならず、気晴らしに中庭にでも出てみようと腰を上げます。
執務室を出て本城入り口のホールに向かうと、ロックが兵士と会話を交わしていました。
ああ・・・、あの御方に会いに来たのですね。
貴方の愛しい恋人に。
しかし陛下は今、不在ですよ。
兵士からその旨を伝えられたらしく、彼は思い巡らすように、視線を下に投げかけました。

こんな日は、貴方の温もりを感じていたい。
抑えきれずに、私の欲心が加速します。
お願いです、私の所に来てください。
あの御方に向けるように、私にもその笑顔を向けなさい。
醜悪な嫉妬心が、じわじわと私の精神をむしばんでゆきます。
ロックがエドガー様の室に向かうべく、踵を返しました。
私はその後を、静かに追います。
今日の私はどうかしていたのだと思います。
襲い来る苛立ちに、完全に自分を見失っていました。

「ロック」
国王様の室へ向かう途中のギャラリーにて、私は彼に声をかけました。
ロックが私を振り返ります。
私はいつもの落ち着き払った面持ちで、彼に歩み寄りました。
「大臣さん・・・」
ロックが少し気まずそうな表情を私に向けました。
何故そんな顔をするのですか?
・・・ああ、すみません。
エドガー様に後ろめたいですよね。
こんな陛下の室目前の場所で、私なんかと二人きりの状況は、大層心苦しいでしょうね。
でも、今すぐ貴方に触れたい。
彼は言葉を選ぶように、口を開きます。
「今日は・・・、大臣さんのとこ、行けない・・・」

気付くと私は、ロックの背を壁に押し付けていました。
彼が驚いて抵抗してきます。
「大臣さ」
私を呼ぶその唇を、唇で塞ぎました。
抗う腕を捕らえ、片手でひとくくりに締め上げます。
「んんっ・・・!」
ロックが嫌がって、私の接吻を拒みました。
今日はエドガー様に会う為に、ここを訪れたのですからね。
まさか私にこのようなことをされるなんて、思ってもみなかったでしょう。
私は口付けをしながら、彼の下肢を衣服の上から撫で上げます。
「んっ!・・・んんっ、ふ・・・!」
ロックが小さく身じろいで、口の中で声を上げます。
彼のズボンの釦を外し、慌しく下肢をあらわにさせました。
「んんーっ!ん、んっ・・・!」
急な展開に、ロックがキスから逃れようともがきます。
これ以上私を怒らせないでください。
貴方の口から、拒絶の言葉なんて聞きたくありません。

剥き出しになった陰茎に手を這わせると、軽く握って擦り上げます。
突如として下肢に訪れた嫌悪感に、ロックが身体を捩りました。
「んっ、・・・んんっ!」
その嫌悪感を快感に替えるべく、彼の前を緩く揉みしだきます。
次第にそこが熱をはらみ、少しずつ硬さを増していくのがわかりました。
「は・・・、ん、ん・・・、んっ・・・」
塞がれた口からも、喘ぐような声音が洩れだしました。
ロックが感じ始めたことを確認し、ようやく唇を離してあげます。
「や、やめてっ・・・!大臣、さんっ・・・!」
それでも彼は、抵抗することを忘れていません。
下肢を責め立てながら耳に口付けを落とします。
「やだっ、や・・・、あっ、あ」
茎の先端を弄ると、溢れだした先走りが、私の手を濡らしました。
こんな状況でも、貴方は感じてしまうのですね。
私はくすりと笑って、首筋に唇を寄せました。

そのまま、私の動きは止まってしまいます。
耳の下側に刻まれた、恋人の烙印。
私は只々、その一点を睨みつけていました。
どうしても、そこから目を逸らすことができません。
この身体は所詮、あの御方の所有物だということを知らしめられました。
「・・・大臣さん?」
わかっていても、神経の奥底から怒りがこみ上げます。
その瞬間、私の中の何かが壊れました。

なぶっていた前から手を離すと、彼の身体を反転させて、早々に自分の前を寛げます。
「え、・・・や、なに!?」
私の取り乱した行動に、ロックがうろたえながら後ろを振り返ります。
そんな彼の事など気遣う素振りも見せず、強引に昂りを後ろに捻じ込みました。
「いやあああっ!や、・・・ひんんっ!」
このような淫乱な身体は、優しく抱いてやる必要などない。
どうせ手に入れる事ができないのなら、壊してしまえばいい。
「やだああっ!・・・や、やめてっ!」
荒々しく腰を打ちつけながら、中を掻き回します。
慣らされていないそこは、狂おしいほどに私を締め付けました。
ロックが恐怖に顔を歪めて叫びます。
「ひっ・・・、誰か・・・!」
貴方の恋人は、夜にならないと戻ってこないですよ。
勿論、こんな所には誰も寄り付かないでしょう。

乱暴に抱かれているというのに、彼の前は悦んで、淫らに蜜を垂らします。
ああ、なんて厭らしい。
しかし、そういう風に慣らされてしまっているのでしょうね。
「ひっ、ひんんっ!も、やめっ・・・!」
ロックの腰を支え直すと、自分の快楽を貪ることだけに集中しました。
彼がイこうがイくまいが、そんなことは関係ありません。
「あんっ、・・・ああ!いやっ、いやっ・・・!」
私はがむしゃらに後ろを突き乱し、早急に中に熱を吐き出しました。
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