ロック受話A

□虜
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そろそろ夕食の時間だ。
食堂に行かなきゃ。
「今日のメニューは何だろうね」
ロックの手を引きながら、にっこりと微笑む。
そんな俺に、ロックがすがるような視線を送った。
「やっぱり、俺・・・」
その場でロックが立ち止まってしまう。
目線を下に落とし、困惑顔で眉間に皺を寄せる。
今更何言ってんの?
自分で望んだことなのに。
俺はロックの顔を覗き込んで、厭らしく笑いかける。
「ほら、早く行こ?」
嫌がるロックを急かしながら、俺達は食堂に向かった。

いつものメンツがひしめき合い、賑わう食堂内。
まだ夕食は出来ていないらしい。
マッシュとガウが、食事係の女性陣をせっついている。
「おとなしく待ってなさい!」
二人が怒られている様子を、俺はソファで可笑しそうに眺めていた。
隣に座っていたロックに、話を振ってみる。
「あのふたり、よっぽどお腹すいてるんだろうね」
「・・・・・」
相変わらずロックは返事もせず、両手で自分の膝を握り締めていた。
ふーん、喋るのもそんなにつらいんだ。
「何か言ってくれないと、喧嘩してるみたいに見えるじゃん」
ロック苛めるのって、ほんと楽しい。

遠目からこちらの状況を見ていたセッツァーが、俺達のところに向かって来た。
そして反対側のロックの横に座る。
「なに、お前ら、喧嘩してんの?」
セッツァーが愉快そうに、俺とロックを見比べる。
「ほら、間違えられた」
俺は理不尽にロックをたしなめる。
食前酒を飲みながら、セッツァーが怪訝に俺を見咎めた。
「エドガー、こいつに何したんだ?」
ていうか、俺がロックに何かしたわけじゃないんだけどなあ。
俺は意味深な笑顔をセッツァーに投げた。
そしてロックの肩に手を置くと、優しく促してやる。
「セッツァーに、教えてあげて?」
途端にロックが泣きそうな顔で俺を見る。
俺まで欲情しちゃうからやめて。
「そんなの・・・」
可愛い。
だいぶ感じてきてるみたいだね。

俺は大きく食堂内を見渡して、少しだけロックを脅かしてみる。
「ここでイかせちゃってもいいんだけどなあ」
「や、エドガー・・・、やだっ・・・」
首を振りながら、ロックが涙ながらに訴える。
「は?まじで何されてんの、お前」
おもむろに、セッツァーがロックの腿に手を置く。
「やっ・・・、やあ・・・!」
ロックは小さく身悶えて、切なそうに膝を擦り合わせた。
咄嗟のその行動に、セッツァーが本気で驚いてる。
「言わないと、セッツァーに意地悪されちゃうよ?」
あ・・・セッツァーの場合、どっちにしても意地悪しそう。

「ロック、言えよ」
周りを気にしながら、セッツァーの手がロックの腿を這い回る。
ほんとセッツァーってば鬼畜なんだから。
「・・・っ、やめてっ・・・!」
自分の身体を蠢く手を押さえつけて、ロックが弱々しく声を洩らす。
それ以上快感与えられたら、前が勃起してるのバレちゃうしね。
ロックが観念して、恥ずかしそうに声を絞り出す。
「俺の、・・・後ろに・・・、・・・機械・・・」
「あ?聞こえねー」
セッツァーが面白がって、ロックの内腿をぎゅっと掴む。
「ひっ・・・!」
ロックの腰が、ビクッと跳ねた。
ほんとは聞こえてるくせに、ロック可哀想。

「お待たせ、ごはんできたよー」
ちょうど夕食の支度が整い、全員がテーブルに向かう。
俺もロックの腕を引っ張って立たせると、セッツァーを振り返った。
「セッツァー、食後に部屋に来てよ」
ロックの厭らしい姿、是非セッツァーにも見てもらわないと。


夕食時のテーブルは、今日も大騒ぎ。
ガウはテーブルマナーなんて知らないから、平気で人の皿から食べ物を奪っていく。
それを女性陣が注意しつつ、マッシュが怒って追いかける。
いつもと変わらず、ほのぼのとした食事風景だ。
俺もセッツァーも、その和やかなひとときを楽しんでいた。
右隣で並んで食事をとっていたロックだけが、案の定浮かない顔。
食事も全然進んでいない。
それはそうだろうなあ。
ロック、今日だけは食べ物の味なんてわかんないかもね。
「食べないと、ガウに取られちゃうよ?」
「・・・・・いらない・・・」
ほとんど食事に手をつけず、ロックがカトラリーを置いた。

今、ロックの後ろには、玩具が入ってる。
奥まで埋め込まれ、その先端のうねりがロックに甘美を与え続けていた。
でもその動きと振動は、絶妙にイけない程度にしてあるから、もどかしい快感しか得られない。
ロックは淫乱だから、強くしたらすぐイっちゃうしね。
こんな煩い食卓なら、僅かな機械音も聞こえないはず。

ロックが静かになっちゃって、俺はかなりつまらない。
・・・悪戯しちゃおっかな。
俺はわざとらしくナイフを床に落とすと、それを足で蹴ってテーブルの下に滑らせた。
「悪い、セッツァー、拾ってくれる?」
ロックを挟んでテーブルの端に座っていたセッツァーに、声をかける。
俺は行儀悪くテーブルに両肘をついて、顎を乗せた。
こうすれば、左隣のストラゴスからは見えないよね。
その意図を察したセッツァーが、ニヤリと笑ってテーブルの下に潜り込む。
さすがセッツァー、ロックを苛めることに関しては、俺とぴったり息が合うな。
膝まで垂れた長めのクロスも、いい演出してる。

「・・・っ!」
ロックがにわかに身体を揺らして、口元に手を当てる。
ほくそ笑みながら下肢に視線を遣ると、ナイフの柄がロックの前を突付いていた。
うわあ、随分ヤラシイ光景。
食卓を見回すと、誰もそんな様子に気付かず、賑やかに歓談している。
依然として、ナイフはロックの前を苛めていた。
「っ、・・・!」
ロックは必死に喘ぎ声を抑える。
ときおり撫でるように、そこをナイフの柄で擦られると、ロックの膝が震え始める。
声を出したいけど出せないロックは、たちまち目元が涙で滲んだ。
「・・・くっ、・・・!」
ロック、顔真っ赤にしちゃって、すっごい可愛い。
公衆の面前でこんなに厭らしいことされて、相当感じてるみたいだし。
充分にロックの痴態を堪能すると、俺は靴で足音を鳴らして、セッツァーに合図する。
テーブルの下から出てきたセッツァーから、俺はナイフを受け取った。
「セッツァー、ありがとう」
セッツァーに心から感謝の気持ちを述べるのなんて、初めてかも。


一番最初に気付いたのはセリス。
「ロック、具合が悪いの?」
頬を朱に染めて、荒く息を吐き出すロックを、不安げな面持ちで見つめていた。
「本当、熱でもあるのかしら」
ティナも、気遣うように言葉をかける。
とうとうこの場にいることに耐えられなくなったのか、ロックが静かに席を立った。
「ごめん・・・、先に、休ませてもらう・・・」
ロックがフラフラになりながら、食堂を出て行く。
一同は心配そうにロックを見送った。
俺もナプキンをたたむと、すぐさま席を立つ。
「俺が様子を見てこよう みんなはそのまま食事を続けてくれ」
去り際に、セッツァーが目配せをしていた。
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