ロック受話@

□涙
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エドガーと出逢ったのは、今から1年程前。
いつものパブで、俺の仲間連中と談笑していた見慣れない顔。
ブロンドの長髪、身なりはそんなに悪くない。
落ち着いた物腰で、連中と酒を酌み交わしていた。
「ああ、いま来ました 例のヤツですよ」
マスターに頼まれていた物を渡すため、パブを訪れた時だった。
不意に俺に話を振られる。
そのブロンドの青年が、こちらを振り返って訊ねた。
「君が、ロック=コールかい?」
気高そうでいて優しい瞳。
俺はその瞳にやられたんだと思う。
「彼らから君の話を聞いていたところだ」
あとになって知ったことだ。
身分を隠し、街の声や帝国に関する情報を収集するため、単身一人でナルシェまで足を運んだのだと。
「君に仕事を依頼したい」
まさかフィガロ城の王様だったなんてね。


以来、リターナーのパイプ役として、幾度かフィガロ城まで出向くことになった。
元々放浪癖な俺はその仕事が性に合っていたし、報酬も十分すぎるくらいだった。
「ああロックか すぐ行くから私の部屋で待っていてくれないか」
「りょーかい」
侍女や大臣と挨拶を交わし、エドガーの部屋に向かった。

リターナー側からの報告を伝えたあと、早々と城を辞去する。
「じゃあ、また動きがあったら連絡するから」
「もう帰るのか?たまには一杯付き合えよ」
「んー・・・今日は、ちょっと・・・」
俺も嘘が上手くなった。
いつもこの手の誘いは断ってきた。

もっと一緒にいたい。
もっと色々話したい。
でもその時間が長ければ長いほど、もっと彼を好きになる。
一介の盗賊無勢が、王の側にいることすら僭越だというのはわかっていた。
必死に想いを押し隠してきた。
エドガーを好きだという気持ちに気付いたのは、いつからだっただろう?

「はは、また断られたか」
相変わらずの綺麗な笑顔に、少し胸が痛む。
「次の機会にな」
無理に笑ってそう言うと、俺は城を後にした。


パブでかなりの量の酒を飲み、フラフラと家路についた。
エドガーと会ったあとは、毎回こうだ。
自分の情けなさに嫌気がさす。
俺自身、こんな切ない想いをいつまで抱えているつもりだ・・・。
家の前まで来ると、扉の辺りに人影が見えた。

ブロンドの・・・
・・・長髪・・・?

「ちょ、何でここに!・・・何しに来たの?・・・つか何で俺んち知ってんの!?」
思いも寄らない人物に、俺は気が動転してしまった。
若きフィガロの王は、俺の声に振り返って苦笑した。
「そんなに、一度に質問されても困るのだが」
いつも通りの落ち着いた口調に、なぜか俺はイラついた。
「で、何?」
憮然と食い掛かる。
そんな俺の態度も気にかけず、エドガーはあの綺麗な笑顔で答えた。
「ここに来たのはロックに会いに 家は城の者に調べさせた」
エドガーの平然とした物言いが、徐々に俺の気持ちを鎮めてくれた。
「・・・何やってだんよ、王様・・・」
呆れたように呟いた。
「いや、ロックが一人で泣いてるんじゃないかと思って」
「!?・・・なんで俺が!!」
息巻いてエドガーを見上げると、どこか悲しげな瞳とぶつかる。
「それなら・・・・・・」
「それなら、帰り際にあんな寂しそうな顔するな」

・・・・え、俺が?
そんな顔してたのか?
自分では上手く隠してたはずだ。
なんでわかんの?
なんで・・・俺なんかのこと心配してくれんの?

ヤバイ、だめだ泣きそう。
みっともない顔を見せたくなくて、思わず下を向く。
「泣くな・・・」
「・・・泣いてねーよ」
いや、泣いてたけど。
今までずっと抑えてきた気持ちが止められなかった。
「エドガー・・・」
「うん?」
「・・・・俺は、エドガーが、好きだ」
「うん、知ってる」
「知ってんのかよ!」
本当にこの王様は食わせ者だ。
「いつになったら想いを伝えてくれるのかと待ちくたびれたよ」
優しく涙を拭われる。
「俺のことで悩んでるロックが可愛くてね、つい意地悪をしてしまったな」
「・・・・・・サドか」
「今日は特にヤバかったな・・・あんな顔されて、さすがに放っておけなかった」
「うるせー・・・・」
「まあその前に・・・俺の方が我慢できなくなったというのもあるのだが」

そして唇を奪われた。
「ふっ・・・」
唇が触れ合うだけのキス。
俺はそれだけで、クラクラするような眩暈を覚えた。
エドガーの舌が歯列を割って、入り込んでくる。
「は・・・ぁ・・・」
それに応えるように、俺も自ら舌を絡めた。
今までの心の隙間を埋めるように、お互い何度も何度も口付けを交した。
「・・・ん・・・・っ」
名残惜しそうに唇が離れる。
腕を引き寄せられて、耳元で囁かれた。
「どうせ泣かすなら、ベッドの中で泣かせたいんだけど」
「〜〜〜〜〜〜!!死ね!!」


「・・・・っ、はぁ・・・・エドガー・・・ッ」
家に入ると、扉を閉める間もなくまた口付けられ、そのままソファに押し倒された。
乱暴に上着をたくし上げられると、エドガーの手が素肌に触れた。
「泣かせちゃうけど、いい?」
「ボケ・・・・、女じゃねえんだから・・・」
「強情な姫君ほど、泣かせ甲斐があるんだけどな」
クスッと笑うと、胸に顔を埋められた。
「っ・・・!」
胸の果実を舌で舐め上げられる。
自分で触れたことすらないその場所が、熱を帯び始めた。
指先で弄られ、舌先でねぶられ、俺のそこは意思に反して硬さを増す。

「・・・・っ」
甘い感覚が、俺の体を捕らえて離さない。
絶対に声なんて出すまいと、必死に堪える。
「ほんとに頑固な姫君だ・・・」
喉の奥で笑われ、下肢の敏感な部分を布越しに触れられた。
「・・・・っ!!」
びくっと体が跳ねる。
軽く手を動かされただけで、体中に快感が広がった。
「っ・・はぁ・・・」
「我慢できないなら声くらい出せばいいのに」
「誰が・・・っ」
そんな潤んだ瞳で睨まれても説得力ないよ、とエドガーはほくそ笑む。

いつの間にか下肢ははだけられ、直にエドガーの手が俺のそこを掴んだ。
「・・・!!」
「ほら、もうグショグショ」
卑猥な言葉を投げかけられて、カッと頬が上気する。
エドガーはわざとらしく音を立てて俺のそこを扱いた。
聞きたくもないのに、そこからの水音が俺の脳を狂わせる。
あまりの快楽に、どうにかなりそうになった。
「や・・・、動かすな・・・っ!」
「嫌じゃないでしょう?ロックの感じてる顔、凄くヤラシイ」
正面から覗き込まれ、恥ずかしさに思わず顔を逸らす。
それなのに頬を押さえられ、無理矢理エドガーの方に向き直される。
「ロックの可愛い顔見せて」
「・・やっ・・・・やだっ・・・・!」

くそ!なんてこんなに上手いんだよ!!
相手は女だけじゃなかったのかよ!!
そんなことを考えていると、下肢の手が早急に動かされた。
「あ!・・・あんっ!!・・・やぁっ」
とうとう堪えきれず、俺は声を洩らした。
満足そうなエドガーの表情がムカつく。
エドガーの手から与えられる快感に、体がビクビクと震える。

恥ずかしい。
こんな厭らしい俺、エドガーに見せたくない。
「や・・・あ、あっ!」
そして容赦なく先端を弄られる。
「ひぃっ!や・・・やあん・・・!」
「ロックがイくとこ、ちゃんと見せて」
やだやだやだ。
頼むから見るな。
こんな俺見ないで。

突然、先端の敏感なそこに爪を立てられた。
「ひっっ!!」
俺はその途端呆気なく果てた。

弾けた熱によって、束の間意識を手放した。
気付くと荒い呼吸を繰り返し、エドガーにしがみ付いていた。
気まずくなって、慌ててエドガーから手を離す。

「ロック、ヤバイぐらい可愛い」
頬に軽くキスされた。
「本気でハマりそう」
ウットリそんなことを言われ、羞恥心と憤りが交差する。
「〜〜〜もう、いいだろ!早く退け!」
エドガーの肩を押し返す。
その腕を捕られ、手首にも口付けられる。
「ダメ ロックが泣くくらい気持ちイイって言うまでやめない」
「ふざけんな!このサディスト野郎!!」
「お褒めに預かり光栄です」
「褒めてねーよ!いいから退け!」

起き上がろうと上体に力を入れた途端、グショグショに濡れた俺のそこをエドガーの手が掴んだ。
「ひっ!」
まだ精を吐いたばかりで敏感になっていたそこは、触れられただけで痛い程反応する。
「あっ・・・・触・・んな、ばか・・・!」
エドガーはそんな反論の声を聞き流し、俺の胸の先端を舌で突付く。
「あんっ!あ・・・、くそ・・・・っ!」
嬌声と悪態の混じった喘ぎ声も悪くない、とエドガーはクスリと笑う。
エドガーの巧みな指と舌の動きに、俺は抵抗すら儘ならない。

突然下肢に、違和感が広がった。
「・・・・!?・・・あ・・・・っ」
下肢の蕾にエドガーの指が埋め込まれた。
「てめっ・・・変なトコ弄んなよ・・・!」
「ココ、気持ち良くないの?」
不意に指を動かされて、今まで味わったことのない快感が背筋を駆け抜ける。
「あ・・っ!やだっ!」
「ロックの悦いとこ、教えて?」
指を増やされて、奥までまさぐられる。
奥の壁面を撫でられると、信じられないくらい腰が跳ねた。
「ひんっ!・・・や・・・いやっ!」
「ロック、ここが悦いんだ」
エドガーは目を細めて笑うと、執拗にそこだけを責め始めた。
グチュグチュと中を弄られ、あまりの甘美に腰が揺れる。
「あんん!や・・・やあっ、エドガ・・・ッ」
それでもエドガーの指は止まらず、さらに中心の濡れた茎を口に含まれた。
「やっ・・いやっ!・・・もぅ・・・・」
俺がイきそうになると、動きが止められる。
緩急をつけて揺さぶられた。

「も・・・イかせて・・・っ!」
耐え切れず、ポロポロと涙が零れた。
「ロック、気持ち良い?」
この熱を冷ましてくれるなら、もうどうでも良かった。
「・・・あっ・・・イ・・・キモチ、いい・・・っ」
その言葉を訊いて満足したエドガーは、己の昂りを俺の中に突き込んだ。
「ああ!・・っ・・・エドガー!・・・あっあ!」

もう何も考えられなかった。
エドガーの熱の塊が、俺の中を激しく貫く。
「あんっ、あっ・・・いやあ!」
「俺も・・・限界」
エドガーが最奥を突き上げると、俺は悲鳴を上げて精を吐いた。
「ああああっ!」
それとほぼ同時に、エドガーもまた俺の中に欲望を吐き出した。


「俺・・・初めてだったのに・・・」
「だから悪かったってば」
わざとらしく手で顔を覆って、バレバレの泣いた振りでエドガーを責めていた。
少しでも仕返ししてやらないと気が済まない。
「ごめんな、ロック」
指の隙間から、本気で申し訳なさそうなエドガーの様子が伺えた。

「じゃあ・・・」
手を覆ったまま続ける。
「絶対俺のこと、捨てるなよ」
「捨てるわけないだろ」
「ずっと俺を好きでいてくれる?」
「ロックだけを愛する」
「もう泣かせない?」
「セックス以外では」

ばっと顔を上げると、エドガーを睨み付けた。
「全然反省してねーじゃねえか!!」
「そこだけは譲れない!」
大真面目な顔で答えんな!!
俺は呆れ果ててため息を吐いた。
「ロック、愛してる」
ご機嫌取りの犬みたいに擦り寄られた。
俺の苦悩は始まったばかりだった。


fin
2008.04.13
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