ピアノの森小説

□星空
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もう深夜に近い時間だろうか。
私はレッスン室で、ピアノの調整をしていた。
勿論、一ノ瀬の為に。
コンクールに出るという取り引きに、一ノ瀬は渋々応じてくれた。
それなら私も最後まで、最善を尽くしてあげたい。

知らぬ間に、一ノ瀬が戸口で私の様子を覗いていた。
こんな時間までウロついてるとは、とんだ不良少年だな。
「一ノ瀬、明日学校に行けなくなるぞ」
私が気付いているとは思ってなかったらしく、一ノ瀬は驚いた表情を浮かべた。
そして自分の非を認めたくないのか、少しむくれながら反論する。
「せ・・・、先生だって、明日学校だぞ」
子供の屁理屈に、私は小さく苦笑する。

夜更けにここを訪れるなど、どういう風の吹き回しだ。
私は一ノ瀬を戸口に残したまま、再びピアノに向き直る。
「なあ、阿字野・・・」
一ノ瀬がためらいがちに、私を呼ぶ。
どこか逡巡するような声音。
「コンクールで俺が・・・、全力で勝負できるように・・・」
そのおぼつかない声を耳にしながら、私は調整を続ける。
「手を貸してくれるか?」
おもむろに一ノ瀬を振り返ると、言葉とは裏腹な、迷う瞳が窺えた。
強くて、いじらしい心。
「・・・手を貸してくれるか?」
もう一度、今度ははっきりと自分の意思を告げて、一ノ瀬がすがるように私を見た。

「もちろん・・・」
そんな事は、初めから重々承知だ。
私は静かにピアノの前を離れる。
一ノ瀬の健気な意気込みが嬉しくて、思わずその肢体を抱き上げてしまう。
「バカ!・・・降ろせ!」
小柄な身体は、あっさりと私の腕の中に収まった。
私に捕らわれながら、幼い手足が微弱にもがく。
一ノ瀬の様子が可愛くて、髪に口付けを落とす。
「夜も遅いし、今日は泊まっていくか?」
私が帰したくないだけだが。
一ノ瀬の頬が、微かに染まる。
「教師が・・・、そんなこと言っていいのかよ・・・」
私の部屋に泊まる事がどういう意味を示すのか、子供心に理解しているらしい。
ますます帰したくなくなる。
「一ノ瀬と、一緒にいたい」
愛おしむように、華奢な肢体をぎゅっと抱き締める。
今夜はお前を離したくない。

「ほんと阿字野は甘ったれだな」
一ノ瀬の拙い手が、私の頭を撫でた。
大人と子供の立場が、完全に逆転してしまっている。
「えっちなこと、したいんだろ?」
妖しく揺らぐ瞳が、私を惑わす。
私は惹かれるように、あどけない唇にキスを落とした。


「いい加減、離せよ」
部屋に入っても、私の腕に抱き留められたままの一ノ瀬は、極めて不満そうだ。
唇を尖らせ、ちらりと私を睨む。
そんな一ノ瀬を苛めるように、私は冗談を吐いてみた。
「朝まで離さないと言ったら?」
無垢な顔立ちが、にわかに赤くなる。
「・・・変態野郎」
「私が変態なのは、了承済みだろ?」
今日、一ノ瀬と二度目の口付けを交わした。
そのままベッドに腰を下ろして、優しく唇を啄ばむ。
「・・・ん、・・・」
徐々に舌を差し込むと、一ノ瀬の唇が、ぎこちなくそれを受け入れる。
純真な子供は、まだキスというものに慣れていないようだ。
これからする行為についても同じ事だが。

私は柔らかく口付けながら、一ノ瀬の肢体をシーツに沈み込ませた。
身にまとった衣服を剥がすと、その滑らかな素肌を撫でる。
「ん・・・、んっ・・・」
弱々しく抵抗する腕を掴んで口内を舐め回すと、一ノ瀬が小さく身じろぐ。
「ふ、ん・・・、はあっ」
唇を離して上も脱がせると、一ノ瀬の全身があらわになった。
ベッドに横たえられた未発達な身体が、酷く猥褻で悩ましい。

「カイ・・・」
首筋にもキスをして胸に手を這わせると、一ノ瀬の肢体がひくっと揺れた。
ささやかに主張する突起を指で摘んで捏ね始める。
「あっ、・・・や、・・・」
一ノ瀬が、可愛らしく声を洩らした。
「ここ、随分感じるようになってきたな」
「う、るさい・・・っ!」
私の愛撫に酔いながらも、一ノ瀬が憎まれ口を叩く。
甘い声がもっと聞きたくて、私は執拗に乳首を責めだした。
「あっ、阿字野・・・っ!・・・や」
両側を厭らしく弄くり回すと、たまらず一ノ瀬が私の手を押さえた。
拙い力では大人の腕に敵わず、一ノ瀬はされるがままに喘ぐ。
「ああっ、あ、・・・あんっ!」
「可愛い」
狂おしくそそられる媚態に、私の色欲は加速する。

胸から手を逸らすと、入れ替わるように、そこを唇でなぶりだした。
「やあっ、や・・・!あ、あっ」
ぬるっとした感触に、一ノ瀬が身体を捩ってよがる。
硬くなったそこを舌先で突付いて、一ノ瀬の熱をさらに高めさせた。
「あんっ!あ、だめっ・・・!」
快楽に喘ぐ一ノ瀬がどうしようもなく可愛くて、私の劣情は止まることを知らない。
空いていた手を下肢に移動させると、そこはすでに濡れて、卑しくも勃ち上がっていた。
「や、やんっ!・・・あ、あ!」
「カイ、凄く感じてるね」
一ノ瀬が涙声で、切なく頭を振る。
勃起した未熟な陰茎を握り込むと、一ノ瀬の腰がビクッと跳ねた。
「あんんっ!や、いやっ、阿字野っ・・・!」
「こっちも硬くなってるよ」
乳首を舐めながら、緩く茎も扱いてやる。
「やああっ!・・・あっ、あんっ!」
襲い来る甘美に耐え切れず、繊細な身体は身悶えた。
大人の舌と指で、一ノ瀬の全身を責め立てる。
「やっ、やんんっ!だめ、だめっ・・・!」
一ノ瀬が切羽詰まったように、私にしがみ付いてくる。
可愛く乱れる一ノ瀬の有り様に、私は夢中で茎を扱き上げた。
「やあああっ!!」
声高に悲鳴を上げて、一ノ瀬が絶頂を迎えた。
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