ピアノの森小説

□恋心
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一ノ瀬が、音階の練習曲を弾いている。
只々、同じフレーズを繰り返すだけの、指の運動。
私はレッスン室で、その様子を眺めていた。
もうどれくらい続けているのだろう。
一ノ瀬の表情に、焦りの色が見える。

「うわああ」
突然一ノ瀬が立ち上がり、鍵盤の前を離れる。
まるでピアノが不思議な生き物であるかの如く、臆したように見据えていた。
「どうした?」
一ノ瀬が額の汗を拭い、己を落ち着かせる。
相当参っているみたいだな。
「・・・やれそうか?」
「これくらい、・・・やれるさ!」
困惑しながらも、上辺だけの虚勢を張る。
一ノ瀬が椅子に腰を落ち着け直すと、再び音階を奏で始めた。
しかしその音色は、苦悶を隠せない。

私は溜息を吐いて、椅子から立ち上がる。
このまま続けさせても、深みにはまるだけだ。
「今日はそれくらいにしておきなさい」
それでも一ノ瀬は、その手を止めない。
悔しそうに、半ば自棄になって鍵盤を叩いていた。
「そんな乱れた感情では、レッスンにならない」

一ノ瀬は、私の言葉に耳も貸さず、一心に音階の練習を続ける。
その心意気だけは買うが、指導者の意向にも従ってもらいたいのだが。
「言うことを聞かない子だな」
演奏をやめさせようと、後ろから華奢な両脇の下に手を入れる。
一ノ瀬の身体が僅かに揺らぎ、安定していた音階が外れた。
「邪魔、すんなよっ・・・!」
私の腕から逃れようと、必死に肢体を捩る。
おろそかになっていた手が鍵盤に当たり、不調和音が響いた。
私はなだめるように目の前の髪に口付けて、一ノ瀬の気持ちを和らげてやる。
「心を静めなさい」
唇はそのまま下に滑り、耳にこそばゆい快感をもたらす。
優しく啄ばんでやると、少し怯えながらも、一ノ瀬はその唇を受け止めた。
「いい子だ」
ピアノから意識が逸れてしまった一ノ瀬は、嫌がることなく私に身を委ねていた。

私の愛撫に酔いしれてきた一ノ瀬が可愛くて、裂けた服の肩口から、手を差し込む。
学友達と喧嘩でもしてきたのか、破れた衣服が一層私の理性を煽った。
繊細なその胸に手を這わせ、ゆっくりと撫で回す。
「・・・っ、あ・・・!」
指が突起を掠めると、一ノ瀬が小さく声を洩らす。
その高い声がもっと聞きたくて、私は執拗に小ぶりな乳首を弄り始めた。
「や、あっ・・・、阿字野・・・!」
幼い身体は快感というものを知り、静かに熱を湧き起こす。
一ノ瀬の手が微細に、私の腕を捕らえた。
そして私を煽り見ながら、切なげに首を振る。
・・・悪戯が過ぎてしまったらしい。

私は胸を責めていた手を止めた。
「リラックスしてきたかな?」
一ノ瀬を抱き上げると、私も椅子に腰掛ける。
後ろから身体に腕を回され、一ノ瀬が恥ずかしそうに私を睨んだ。
「このっ・・・、エロ教師!」
もうすっかりレッスンのことは、頭から離れているな。
心情も、別の意味で安定してきたみたいだし。
あんな状態の一ノ瀬を見ているのは、正直心が締め付けられるのだ。

私は背後から一ノ瀬の顔を覗き込むと、その小ぢんまりとした唇にキスを落とす。
「・・・っ、・・・!」
咄嗟に口を塞がれて、不慣れな唇が堅く結ばれる。
一ノ瀬はどうしていいかわからず、無意識に私のシャツを掴んでいた。
優しく挟むように口付けを続けると、閉ざされた唇が次第に開いてくる。
「はあっ・・・」
呼吸をすることを忘れていたらしく、一ノ瀬が大きく息を吐く。
子供らしい反応が初々しい。
「一ノ瀬、キスは嫌か?」
こんな年端も行かぬ幼な子に、私は何を言っているのか。
それでも一ノ瀬は、逡巡するように言葉を紡いだ。
「・・・やじゃない・・・、ちょっと、強引だけど・・・」

潤んだ瞳が私を誘う。
気付くと私は、再度唇を合わせていた。
「・・・んっ、・・・は」
薄い唇を舐めると、その濡れた感触に、一ノ瀬が微かに身震いした。
少しずつ中に舌を入れ込んで、蜜を味わう。
私は口付けを交わしながら、一ノ瀬のズボンの中に、手を潜り込ませた。
「んんっ・・・!んーっ!」
予期せぬ衝動に、華奢な身体をビクッと揺らし、一ノ瀬がキスを拒む。
唇を離してやると、私は一ノ瀬の前を探るように手を動かした。
僅かに勃ち上がった未熟な茎が、私の指に触れる。
「あっ、あ・・・!」
そこをまさぐると、小さく喘ぎが洩れる。
一ノ瀬が感じてくれていることが嬉しくて、思わず陰茎を握り込んだ。
指の腹で先端を弄ると、細い腰が跳ね上がる。
「やんっ・・・!ああっ、・・・あ、あ」
下肢を襲う甘ったるい刺激に、一ノ瀬が可愛く鳴き始めた。
与えられる振動を止めようと、拙い手が私の腕を掴む。
「カイ、ここ、硬くなってきたよ」
「あんっ、あ・・・、だま、れ・・・っ!」
一ノ瀬が私の胸に顔を預け、熱っぽく息を吐いた。
卑猥に滴る蜜を塗り付けて、未成熟な茎を緩く扱いてやる。
衣服の下から、くちゅくちゅと濡れた音が聞こえた。

Tシャツの中にも手を差し込んで、一ノ瀬を絶頂へと導く。
軽く突起を捏ねると、しなやかな背を反らせて快感に耐えていた。
「あ・・・、せん、せ・・・、俺、もお・・・っ!」
余裕のない声で、一ノ瀬が下肢を震わせた。
「我慢せずに出しなさい」
胸と茎を同時に責め立てて、ひときわ快楽を沸騰させる。
「いやっ、や・・・!あんっ、・・・んっ!」
一ノ瀬が小柄な身体を捩って身悶える。
「カイ・・・」
たまらず乳首をぎゅっと摘むと、一ノ瀬の幼い肢体がビクビクと震えた。
「あああっ・・・!・・・あ、あ・・・」
下肢をなぶっていた私の手に、ドロッとした感触が伝わる。
一ノ瀬は大人の手によって、半ば無理矢理に射精させられた。


濡れた下着が気持ち悪いのか、一ノ瀬が私の上でもぞもぞと動いた。
ふと、何かに気付いて怪訝な面持ちで私を見る。
「阿字野・・・、尻の下に、なんかあんぞ・・・」
膨張した私のそれがバレてしまったらしい。
私は小さく苦笑する。
あんなに愛らしい姿を見せつけられて、興奮しない方がおかしい。
悪戯に、一ノ瀬の手を掴んで私の下肢に誘導させる。
「私のこれが、一ノ瀬の中に入りたがっているんだよ」
「・・・?」
一ノ瀬は意味がわからないのか、小首を傾げて私のそこを怖々と触れる。
こんな思春期を迎えたばかりの子供に、大人の情事など知る由もない。
「一ノ瀬の、ここにな」
私は一ノ瀬の身体をずらして、衣服の上から後ろの割れ目に手を這わす。
「うわ、何・・・!?どこさわってんだよ!」
身体を強張らせ、羞恥に顔を赤らめる。
「一ノ瀬に、ここで気持ち良くなって欲しい」
後ろを撫でられて、一ノ瀬が嫌悪感をあらわにした。
どうしようもなく逃げてしまう腰を追うことはせず、私はそこから手を離す。
一ノ瀬は、不快な思いをさせられて唇を尖らせた。
「変態・・・」

私は一ノ瀬の顔を覗き見る。
「そんな変態のことが、好きなんだろ?」
自意識過剰な発言に、一ノ瀬が生意気そうな表情を向けた。
「別に 阿字野が泣いて頼むんなら、好きになってやってもいいぜ?」
全く、この子供には敵わない。

手探り状態で始まった私の恋は、いつしか本物の恋に変わっていた。
一ノ瀬が、私の眠っていた感情を掘り起こしたのだ。
もしそれが過ちだとしても、止めることはできないだろう。
今は、その純粋な心に囚われていたい。


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2008.06.03
やっぱりぬるぽ
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