ピアノの森小説

□眩暈
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音楽室から唄が聴こえる。
これは・・・モーツァルト・・・。
私がそこに入って来た事にも気付かず、一ノ瀬が机の上で、空想のピアノを弾いていた。
没頭しながら、さも楽しそうに宙を叩く指。
陶酔しきった唇から零れる、綺麗なメロディライン。
暫しの間、私はその情景に見惚れていた。

私は静かに鍵盤の上に指を置くと、一ノ瀬の為にピアノを弾いてやる。
その音色に、ようやく一ノ瀬が私の存在を確認したらしい。
「学校はサボっても、音楽室には遊びに来るのか?」
意地悪く、一ノ瀬を咎める。
「あ・・・」
明らかに気まずそうな表情。
私は追い討ちをかけるように言葉を続けた。
「それとも、私を訪ねて来たのか?」
一ノ瀬の顔が、みるみる赤くなった。
「なわけねーだろ!」
机の上から飛び降りて、一ノ瀬が音楽室を出て行こうとする。
私は咄嗟に立ち上がり、その細い腕を掴んでいた。

「離せよ」
一ノ瀬が不審げに、下から睨む。
引き止めてしまったものの、私はそのまま動くことができなかった。
「・・・先生?」
私は何をしているのか・・・。
しかし、その強気な瞳が私を引きつける。
気付くと、その目に吸い込まれるように、唇を合わせていた。
「ふ・・・、んっ・・・!」
両手で頬を包み込み、柔らかく口付けた。
かよわい腕が、私の身体を押し退けようとする。
そんな動作がたまらなく可愛くて、私の衝動は止まらない。
「んんっ・・・!」
深く口付けると、息苦しそうな一ノ瀬の顔が窺えた。
キスなんて初めての体験なのだろう。
呼吸の逃し方すらわからない。

ようやく唇を解放してやると、一ノ瀬は慌しく息を吸い込んで、つらそうに顔を歪めた。
そんな様子が可笑しくて、思わず顔が緩んでしまう。
「こういうときは、鼻で呼吸をするものだ」
「・・・っ、うるせー、ロリコン」
涙目で、悔しそうに私の手を払う。
その手首を優しく捉えて、今度は手の甲に唇を落とした。
「阿字野・・・お前、変態か?」
一ノ瀬が、跪いた私を蔑んだように笑う。
「そうかもしれないな・・・」
こんな未熟な身体を、そして心を、欲してしまっていた。
それほどまでに魅了される何かが、一ノ瀬の中にはある。

私はその華奢な身体を抱え上げる。
一ノ瀬は、私の強引な行動に抵抗もせず、大人しく腕の中に収まっていた。
ピアノの上に小柄な肢体を横たえさせて、その額に軽くキスを施す。
「なに、俺、・・・これからヤられんの?」
「・・・・・」
どういう意図で、私はこのような行動に駆られてしまったのか。
未発達な身体を、抱こうとしていた己を叱責する。
「・・・別に、阿字野ならいーけど」
一ノ瀬は、子供にしては艶かしすぎる表情で俺を惑わす。
「一ノ瀬・・・」
「俺のこと、好きなんだろ?」
挑発するかの如く向けられる、不敵な眼差し。

好き・・・、そう、久しく忘れていた感情。
私は一ノ瀬が好きなのか。
こんな幼い子供に諭されるなんてな。
「カイ・・・」
サラサラの髪を掻き上げて、再び唇を奪う。
「・・・っ」
今度は一ノ瀬が苦しくならないよう、隙間を開けてキスを交わす。
緩く口内を犯し、ささやかな舌を吸い上げた。
「んっ・・・、は・・・」
ひくっと肢体を揺らし、すがるように私の身体に腕を預けてくる。
愛おしい。
私は飽きるほどに、甘い口付けを堪能した。


衣服の裾から手を入れて、あやすように胸を愛撫する。
「阿字野、くすぐってーよ」
一ノ瀬が私を見ながら小さく身じろぐ。
純真な身体は、快感を生み出す行為を知らない。
私は薄く微笑んで、胸の飾りを探るように手を動かした。
「じきに気持ち良くなってくる」
「・・・阿字野のくせに、エロいこと言うな」
不満そうに、私の顎を跳ね上げる。
小ぶりな突起を見つけると、私はそこを僅かに撫で付けた。
そこから気持ち良さを得られるように、緩く摘んで捏ねる。
「・・・っ、・・・」
初めて与えられる刺激に、一ノ瀬が困惑したように視線を泳がせた。
先端を擦り上げ、じわじわと快感を醸し出してやる。
「っ・・・、ん・・・」
私の指遣いに、一ノ瀬が翻弄され始めた。
タンクトップを捲り上げ、もう片方も舌でなぶる。
「・・・や、・・・っ!」
ぴちゃりと濡れた音が、室内に響いた。
ちっぽけな乳首を口に含むと、一ノ瀬が私の髪を掴んで拒む。
「んっ、・・・っ!」
その仕草が可愛くて、私は一ノ瀬の身体に溺れた。

舌と指で充分に愛撫すると、小ぶりなそこが硬くなってきた。
「一ノ瀬、感じているのか?」
私は面を上げて、一ノ瀬を覗き込む。
あどけない顔が、一瞬で紅潮した。
「・・・るせ!テメーの手つきはヤラシイんだよ・・・!」
感じてしまったことを認めるのが恥ずかしいのか、憎まれ口を利いて快感を紛らわそうとする。
そんな一ノ瀬の様子が、私を一層煽った。
「あ・・・、やっ!」
意地悪く、勃ち上がった乳首を摘むと、柔軟な子供の身体がしなる。
その媚態に急かされて、私は下肢にも手を這わせた。
「・・・っ、・・・阿字野!」
服の上からそこを撫で回し、ゆっくりと甘美を送り込む。
一ノ瀬のそこは、ささやかながらも隆起し始めていた。

無垢な身体が、私の手によって冒涜されていく。
その実情に、眩暈がするほどの興奮を覚えた。
「カイ・・・、たまらなく可愛い・・・」
ズボンの中に手を入れて、未成熟な茎を握り込む。
「や・・・、阿字野っ、・・・さわんな・・・!」
まだつるりとしたその手触りが、罪の意識を彷彿させた。
しかし、稚拙な肢体の虜になってしまった私の色欲は、抑え切れずに暴れだす。
一ノ瀬の下肢をあらわにすると、未熟なそこを口に咥えた。
「やっ・・・!せんせ・・・!」
ぬるっとした咄嗟の刺激に、一ノ瀬が華奢な身体を捩って熱を逃そうとする。
口の中で舐め回すと、確実にそこが反応を返した。
「・・・離せっ!・・・なんか、俺・・・!」
一ノ瀬が下肢を震わせて、私の頭を剥がそうとする。
限界が近いのがわかる。
「あっ、あ・・・!」
唇でぬるぬると扱いてキツく吸い上げると、温かい液体が口に広がった。
切なそうな顔をして、一ノ瀬が達した。
一ノ瀬が吐き出したそれは、ほのかに甘い味がした。


「阿字野・・・俺、まだちゃんと言ってもらってないんだけど」
椅子に座った私の上で、一ノ瀬が居心地悪そうに身じろぐ。
「ん?なんだ・・・?」
私をちらりと見ると、斜め下に視線を落とす。
「・・・なんていうか、その・・・」
一ノ瀬の言いたいことは、分かりきっていた。
しかし、拗ねたようなその顔が、酷く可愛いらしい。
あんまり苛めるのも良くないな。

「カイ、好きだ」
一ノ瀬の腰を引き寄せて、ぎゅっと抱き締めた。
されるがままに、しなやかな肢体が私の腕に捕らわれる。
「・・・順序が逆だろ・・・」
ぽつりと呟いて、一ノ瀬が私の背中に手を回す。
「そうだったな」
私はくすりと笑うと、綺麗なその髪に、慈しむようなキスを落とした。


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2008.06.01
ぬるぽ
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