短編

□この日だけは
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「…さん…土方さん?」
「あ…?」

俺は名前を呼ばれてハッと我に返った

「どうかしたんですかィ?
アンタが見回り中にぼんやり空なんか眺めてるなんて、らしくねぇですぜィ?」

俺にそう言って来たのは沖田総悟
今はコイツと市内の見回りの時間だ

「ああ…そうかもな」
「そうかもなって、本当にどうしたんですかィ?」
「いや…また鯉のぼりが上がってる時期かと思ってな」
「あ、そう言えば今日は子供の日ですねィ」
「俺は鯉のぼりを上げてもらった覚えがねぇからな…不覚だがこの時期の空が気に入らねぇんだよ」
「成る程ねィ…だから今日は何だか浮かない顔してるんですねィ」
「まぁな…」

俺が物心付く頃には両親は居なくて兄だけの上に家はそれ程金も無かったせいか屋根の下で飾れる位小さな鯉のぼりを貰った記憶しかなかった
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