きゅ〜てぃ〜はに〜
□きゅ〜てぃ〜はに〜/act2.LEON
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「どうすっかな…」
手の中の携帯電話を見て呟くトレイン。
「あいつまだああしてんのか…」
起きてからずっと携帯片手に落ち着かない様子のトレインに、
キッチンから朝ご飯を運んできたスヴェンが怪訝そうな表情で呟いた。
その言葉にソファに座って本を読んでいたイヴが呆れ顔でこくりと頷く。
「ねぇ、早くちゃんと謝ったら?」
痺れを切らしたイヴが口を開く。
分かってるよと返すが、その言葉とは裏腹に手の中の携帯電話をポケットにつっ込んだトレインを見て、
イヴは好きにすればといった表情で溜め息をついた。
自分でも煮え切らない態度をとっているのは分かっている。
トレインはふぅと息をついて窓の外に目をやった。
昨日リンスとの待ち合わせに出掛ける途中、たまたま手配書を見たばかりの賞金首を見かけた。
彼女に連絡しようとしたが、こんな時に限って携帯を忘れて来てしまい、仕方なくそのまま後を追うことにした。
賞金首を捕まえて引渡した後、もういないかもしれないと思いながら待ち合わせ場所に向かうと、遠目に彼女の姿を見つけた。
けれど一人ではない。
後姿しか見えなかったが、スーツ姿の男が一緒だった。
瞬間的に思った。
別に俺じゃなくても良かったんじゃないかと。
あいつには代わりなんていくらでもいる。
なんだか無性に苛々して、リンスに会わずにすぐその場を後にした。
戻ってから結局「ごめん」と一言だけ打ってメールを送ったが、その後彼女から連絡はなかった。
相当怒っているか、それとも、もうどうでもいいのか。
とはいえ、待たせた挙句に行かなかった自分が悪いのには違いないし、
あんなメール一通でこのままほうっておくのはどうかとも思う。
思うけれど
「くっそ…なんなんだよ…」
自分でもよく分からない。
どうしても素直に謝る気になれなかった。