ぬら孫2

□若さゆえの暴挙
2ページ/3ページ


今まで下を向きむすっとしていた若菜だが、こちらを伺うようにちらっと上目遣いで見てくる。

いや、この状況はまずいであろう。

『好き?』ってなんだ。それを俺にどうやって答えろって言うんだ。

下手なことは言えない。

どう転んでも主の耳に入れば大変な問題になってしまう。


「首無さん?」


人の気持ちも知らずに若菜は不安げな声で問う。

首無は目をそらしつつ、答えた。


「好きですよ。」


その途端。


「くおらあぁぁああああ!!!!首無、きさまぁああああああああああ」

「げっ」

「あ!鯉伴さん!こんにちはー」

「若菜!!!大丈夫か?こいつに変なことされてないか?」

「大丈夫よ。お買い物に付き合ってもらってたの。すっごい助かっちゃった!」

「馬鹿野朗。そんなの俺に言えばいいだろ。」


どこからか地を這うような恐ろしい声が聞こえたかと思うと、今にも掴みかからんとする鯉伴が表れた。

顔を青くする首無とは反対に若菜は嬉しそうに駆け寄る。

そんな若菜を抱きしめると、鯉伴は「大丈夫か?」と聞いていたのだ。


「ねぇねぇ。鯉伴さん。」

「なんだ?」

「鯉伴さんは私のこと好き?」


周りの音が消えたような気がした。

聞いた若菜はいたって真剣そうだ。

鯉伴は少しぼぉーっとしていたが、すぐに我に帰ったのか。


「好きだ!大好きだ!!!愛しているぞ、若菜!!!」


と抱きしめて叫んだ。

人が見ているとかそんなことは関係ないらしい。
見ているこっとは恥ずかしいのだが、と首無は一人ため息を付いた。

まぁ、これで想いも伝えれたのだし、ちょっとは家で『あ〜、若菜ぁ〜』とゴロゴロすることもなくなるだろう。

平和な日々が訪れそうだ。とほんのり幸せな気分になっていたのだが、


「ってことは、鯉伴さんも首無さんも一緒ね!私も二人とも好きよ!」


と、若菜が爆弾を落とした。




若さゆえの暴挙

若い子は恋愛のいろはも知らないからこのように好きなことが出来るんだ。





END
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ