ぬら孫2
□若さゆえの暴挙
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首無は着いて行くのに精一杯だった。
人の波を縫うようにすいすい歩く、主の思い人の背中を追いかけることがこれほどまでに大変だったとは。
これでは毎日主がくたくたになりながら(それでもにやけているが)帰ってくるのがわかったような気がした。
「あ!ここ!!首無さん、ここです!!!」
人の雑音の中はっきりとした声が聞こえて首無は慌てて駆け寄るのだった。
「ありがとうございます。首無さんがいなかったら大変だったわ。」
「いえ・・・お力になれてよかったです。」
「ほんと。偶然とはいえって感じね!」
偶然ではなく今日は総会があり、主の代わりに後をつけていました。なんて言えるわけもないのでニコニコ笑う若菜の顔を見て曖昧に頷いておいた。
「それにしても、若菜さま「若菜ちゃん」
「・・・若菜さん「ちゃん!!!」
「・・・・・・・・若菜ちゃん、たくさん買いましたね。「買ったね。でいいですってば。首無さんの方が年上なんだもん。」
「それはちょっと・・・・」
しゃべるたびにこのように訂正されてはなかなか進めない。
さすがに主の想い人に軽い口が利き、それを聞いていたどこかの雑魚が主にチクリでもしたらややこしいと首無の本能が伝えるのでいえない。
若菜は不服なのか、頬を膨らませて拗ねている。
「鯉伴さんのお友達はみんなそうだから嫌だわ。毛倡妓ちゃんも。なんかよそよそしくって・・・私だけ仲間はずれにされてる気分。」
「そんなことありませんよ。みんな、若菜さ・・・若菜ちゃんのこと慕ってますよ。」
「本当かしら?」
「本当ですよ。」
「なら、首無さん。私のこと好き?」
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