他ジャンル
□鏡映しでわかること
3ページ/6ページ
血の味がする。
それを残さず舐め取りたくって舌を使い舐め取っていく。
そのうちに口内も味わいたくなったので、無理矢理こじ開けた。
「んっ。・・・あっ。はぁ」
「・・・じゅるっ。玉章・・・」
「だめっ・・・やめっ。」
「うまいぜよ。」
「や・・・やめろっ・・・い、息が出来ないだろ!駄犬が!!」
今まで(いや、序盤あたりで抵抗はしていた)大人しく唇を弄ばれていた玉章だったが、息が続かなかったらしい。
思いっきり犬神を突き飛ばした。
これまた、なんの用意もしてなかったので派手に後ろに転んだ。
「ったぁ〜、なにするがか!!!玉章!!」
「お前こそ、なにするんだ!僕が、いつ。してもいいだなんて言った。」
「最初にしかけてきたのは玉章ぜよ!」
「・・・」
さすがに正論を返されたのでどうやら反論はできなかったらしい。
玉章は悔しそうに犬神を睨んでいる。
犬神は立ち上がり、急に玉章の首輪に手をかけた。
「それに、今ご主人様は俺じゃき。お前は俺のペットぜよ。主人の命令聞けないのか?」
「・・・すみません。ご主人様」
ガブリッ。
犬神が玉章の首に歯を立てた。
「いっ!」
「生意気ぜよ。気に喰わない。」
「犬神、お前っ」
「名前を呼ぶな。お前は喘いでいればいいんだ。」
痛さに抗議の声をあげた玉章を犬神は冷たい目で見ていた。
冷え切った、何もかも受け付けないような瞳。
己の存在を否定するような声。
でも、この存在だけが自己を証明してくれる。
.