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□人の振り観て、我が振り治せ
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パキリッ


足元で何やら硬い物が砕ける音がした。

何事かと視線を下に下げれば、今しがた受け取ったばかりのチョコが落ちていた。

どうやら、それを踏んづけたらしかった。

玉章はため息をついて、それを拾い上げゴミ箱に入れると向かいの校舎を見た。

ちょうど、真ん中。

生徒会室の会長の部屋から見やすいそこに犬がいた。

名前も知らない女子と笑顔で話し込んでいる。

手にはピンクの箱があった。

どんな顔で受けっとたのかは、知らないが。

知りたくもないが。

おもしろくない。

いつもなら、自分が見せつけてやるのに今年は逆だった。

おもしろくない。

嫌な気分になるのは、飼い主である自分ではないはずだ。

玉章はイライラしながら、今だ笑顔で話し込んでいる犬神を見ていた。


「・・・」


自分が飼い犬にこんな感情を抱いているのが、おもしろくない。


「馬鹿馬鹿しい。」


あんなのから、チョコを貰って何が嬉しいのだ。

理解できない。

したくもない。

玉章は足元に置いてあった紙袋いっぱいまで詰め込まれたチョコをみて、ムカッとした。

力任せにそれを蹴飛ばした。

犬風情が。

とも、思った。

そして、

そんな笑顔向けることないじゃないかとも思ってしまった。



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