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□天邪鬼
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「二人は僕の部屋にでもどうぞ。」

「あ、すまない。」

「じゃね。イザーク。せいぜい頑張って。」




ヘルガは汚い部屋に座り込んでいた。

散らかしすぎた。

立ち上がろうにも動けない。

下から影が伸びその中から指が出てくる。


「なっ・・・」

「思い出しましたよ。伯爵夫人」

「勝手に入るな、と言っておくじゃろ!」

「その怒った顔が見たかったのですよ。」

「なっ」


何を言っているのだ、この男。

勝手にワープホールで入ってきたケンプファーにヘルガはかける言葉がなかった。

完全に全身が出てきた男はヘルガのベッドに座る。


「座るでない!!!」

「おや?立場では私のほうが上のはずでしたが?」

「・・・」

「ですから。別にいいのではないですか?」

「ご勝手に」

「ヘルガ」


この男は、人を名で呼ぶことはない。

ヘルガは目を丸くする。

ケンプファーはニッコリ笑っている。

目は相変わらず死んだ魚のような目だった。


「ヘルガ」


もう一度呼ぶ。

嫌な顔をして、ヘルガは返事をした。


「ヤー」

「その顔ですよ。私の見たかったのは」

「・・・妾は二度と見たくはないのですが。魔術師殿」

「うれしいことだ。何度でも逢いにきますよ。」

「迷惑じゃ」


ヘルガは目の前の男を睨んだ。







END
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