WJ系
□羨ましい
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「僕は君になりたい。」
「は?」
「僕は君みたいに強くなりたい。」
「何言ってんだ?お前はそのままでいいじゃねぇか。」
そうじゃないんだ。
そうリクオは首を振った。
桜の木の上でそんなリクオを見下ろしていたリクオも困ったような顔をして頭をかいた。
「僕には何もできないだろ?みんなを守りたいって思っても結局は君の力を借りないといけない。それが嫌なんだ。」
「嫌って言われてもな・・・俺だってお前なんだから。それでいいじゃねぇのか?」
「違う。違うんだよ、そうじゃないんだ。」
「そうじゃないってなんだ。俺はお前だろ?」
桜の木の下で違うんだ、と弱々しく首を振るリクオの元に音もなく降り立つと、リクオは頭二つ分ほど小さいリクオの頭をリクオよりも大きな手で掴む。
妖怪のリクオとしての自我ができてから、こうやって誰かに慰めてもらったと言う記憶がないのでリクオの記憶をなんとかして辿ってやってみることしができない。
「夜の僕?」
「あ・・・その・・・なんだ。俺はお前はお前のままでいいと思う。何を言われたのかなんて俺にはよくわからないけど。本家の妖怪が着いてきてくれてるのは俺じゃなくってお前なんだ。きっと。」
「・・・そ・・・なのかな?」
「そうだって。お前らしさに惹かれてんだよ。みんな。だから自信持てよ。な?」
「僕もみんなを守れてるかな?」
「守れてるよ。俺が保障する。」
「ありがとう。夜の僕。」
そう言って笑った昼のリクオに夜のリクオは安心したように微笑んだ。
何があっても俺はお前の味方なんだからな、とリクオは笑みを浮かべるリクオに告げた。
END