WJ系
□まるで脳内5歳児
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どたどたと元気のいい足音が聞こえて、若菜はふっと顔を上げた。
「おかーさんっ」
「あら、リクオ。お帰りなさい。」
「今日ね、今日ね!!!おじいちゃんが迎えに来てくれたんだよ!!」
「よかったわね。リクオおじいちゃん好きだもんね。」
「大好き!でも、お母さんが一番好き」
幼稚園から帰ってきた息子のリクオは母の若菜に飛びついた。
力いっぱい抱きつくリクオに若菜も負けじと抱きしめる。
その後ろから祖父であるぬらりひょんが現れた。
「おう、若菜さん。帰ったよ」
「いつもすみません。義父さんにご迷惑を・・・」
「なに。若菜さんには家のことをしてもらっておるしの。リクオとの散歩も楽しいしな」
「今日もね。おじいちゃんのお話たくさん聞けたんだよ!僕、おじいちゃんみたいになるんだから!」
「お。嬉しいのう。」
「リクオは本当におじいちゃんが好きなのね。」
ふふふっと笑う若菜に祖父に抱きつくリクオ。
それを受け止めるぬらりひょん。
そんな3人を見ていたのは今しがた帰ってきたばかりの父・鯉伴だった。
息子からは『お父さんみたいになりたい』なんて言ってもらったことがない。
せっかく久しぶりに帰ってきたので遊んでやろうと思っていたのに。
鯉伴はそっと若菜に背後から近づくと抱きつく。
「さみしい。」
「あら?鯉伴さん。帰ってらしたの?おかえりなさい。」
「・・・若菜、気づいてなかったのか?」
「えぇ。だって、鯉伴さん。いるかいないかもわからないんですもの。」
あっけらかんと、悪気のないその一言が鯉伴には痛かった。
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