WJ系

□嘘の話
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奴良の話が終わった。

なんとなく後味が悪く、みんな不思議そうに顔を見合わす。


「それで。そこ子はどうしたんっすか?」

「どうって。さ?俺にはわからん」

「聞いた話って都市伝説とか?」

「うーん・・・そうかな?」

「なんか、不思議な話だったよね。男が上にいたって何?」

「よかったな。家長くん。恐くなくって」

「これはこれで恐いよ・・・」


など、感想を述べていた時だった。

清継がふっと首をかしげた。


「なんだか今日は静かだね」

「何が?」

「奴良くんの家が静かじゃないか?」


いつもなら母の若菜の声や祖父のぬらりひょんの声がするのになんの音もしない。

広い屋敷にこの部屋に集まっているメンバーしかいないような感じがするのだ。

そういえば、と巻と鳥居は頷く。

島も確かに・・・と唸る。

そんなメンバーは見て奴良は笑った。


「今日はエイプリルフールだぞ」

「それで?」

「嘘を吐いてもいい日だろ?」

「だから?なんなんだい?」


言っている意味がよく分からないので、清継は奴良の金色の目を見て首をかしげた。

奴良はニタニタと笑いながら答えたのだ。


「俺はもう嘘をついたぞ」

「え?いついつ?」

「さっきだよ」

「さっきってあの話が嘘だったのかい?」


もーっとみんなが笑いだす。

ちょっと恐かったよね。

奴良くんの話し方が独特すぎだよ。など言い合っている。

それを見て奴良が呟いた。


「・・・聞いた話じゃないんだけどな・・・」





END
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