WJ系

□チョコの日
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清継はとくかに器用貧乏だった。

勉強はできる。

運動もそこそこできる。

人望も厚い方だと思っている。

ルックスもそこそこいい方である。

天は二物を与えないなんて言葉は清継の前ではあってないようなものだった。

そんな清継は手作りチョコを作っていた。
味はそこそこである(島曰く、さすが清継くん!らしい)。

男なのに乙女な一面もそこそこある清継はできたチョコは目の前にう〜んっと唸っていた。


「どうしてものかね・・・」


作ったのはいい。

が、渡すとなれば話は別になっていまう。


「渡すのか・・・いや。渡すために作ったのではないのか?いやいや。でも渡すとしたらどうしたらいいんだ?」


いやいやいや。と一人で悩んでいる。

渡したい相手は親友のリクオ。

の妖怪になったときの姿である闇の主。

小学校の時に衝撃的な出会いを果たしてから(独断だけどね)恋焦がれて早何年。

やっと、やっとリクオくんと闇の主が体を分けられたと言うのに!

初めてのバレンタイン・・・もといい、お菓子会社の陰謀の日。

この日に乗っからなくっていつ乗っかるのだ!


「渡すと。決めただろ。僕。なんたって僕は清怪奇十字探偵団の団長だろ!!!」


と意味のわからない鼓舞をし、清継は家を飛び出した。

行き先はまっずぐに通い慣れてしまった奴良家。


「うおぉぉっぉぉぉ!待っててください。闇の主!」


と叫ぶ姿は怪しかった。

それはもう、いいようがない程に。


「あら?リクオ?ちょっと待っててね」


家に行けば若菜はにこっと笑いながら玄関で待っているように言われてそわそわしながら立っていた。


「あの別に深い意味はないんです。その尊敬とかそんな感じの・・・いや、イマイチだな。今日は甘いものをあげる日・・・インパクトがないな〜」


と台詞を何度も練習をしていた清継の耳に足音が聞こえたので顔を上げればそこにいたのはメガネをかけた同級生だった。


「・・・」

「どうしたの?」

「君じゃないんだよ!!!奴良くん!!!!」

「えぇえええ!!!ごめん。」

「君じゃなくって。闇の主の方だよ!!!」

「え?あぁ。夜の僕の方?なんで?」


なんでとはなんだ。

今日なんの日か知らないのか?

いや、奴良くん自身もチョコを貰っていた。

それで『なんで?』とはなんだ。

清継は頭を抱えた。

同級生のリクオはどうしたの?と首を傾げてくる。

この野郎。とガラにもなく思ったが清継はため息をついて終わらせた。


(なんて僕って大人なんだ)

「奴良くん。君って何も知らないのかわざとなのかわこの際どうでもいいさ」

「どうでもって・・・あぁ、バレンタイン・・・だよね?」

「・・・・」

「ごめん。」

「これ」

「・・・渡しておくよ。ちゃんと。お礼とか言いに行くように言っておくから・・・ね」


気まずい。

すごい気まずい。

二人は何も言わずにチョコ受け取りを済ませた。

もうちょっとドキドキしたかったのに・・・
と思ったが目的は果たせたのだからいいとした。




END

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