WJ系
□狐と狸と誰?の化かし合い
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「おや?偶然じゃな」
「・・・羽衣狐??」
なんでここに?
そこには真っ黒な女の子が立っていた。
ゆるりと微笑む。
冷たい指がリクオの頬をなぞり、指が唇に触れた。
「かわゆいのぅ。して、狸。何をしておる。」
「あぁ。狐。邪魔しないでくれないかい?君には関係のない話さ」
「関係ない?わらわの可愛いリクオが震えておるのはそちのせいじゃないのか?」
「人聞きの悪い狐だ。僕ではなく。君じゃないのかい?老婆に声をかけられて恐怖に震えてるんだよ。ね?リクオくん。こっちおいで。危ないから」
ぎゅっと後ろから抱かれるように玉章に捕まった。
リクオはごくっと喉を動かして二人をみる。
二人とも顔は笑顔だったが、後ろに狐と狸の幻想が見える。
きっと気のせいじゃない。
「おやおや。狸の坊主はそんなにお子様だったのか?玩具ひとつで駄々をこねるか?」
「そっちこそ。リクオくんと遊んでいたのは僕なのに。勝手に入ってきてなんだい?」
「僕で遊ばないでよ!」
玉章の腕の中で抗議の声を上げるも二人はにたっと笑うだけだった。
うっと声がつまる。
別にこの二人は嫌いじゃないが、関わらないでいいなら関わりたくない。
面倒なことしか起こさないような二人だからでもある。
ビクビクしているリクオの頬に小さくキスをすると羽衣狐は優しく声をかける。
「別にとって喰おうなんぞ思うておらん。」
「そうだよ。僕らは遊びに来たんだ。」
「僕ででしょ?」
「いいや。」
二人はますます笑みを浮かべるのであった。
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