WJ系

□後ろ姿にはあの人が
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ただ何百と生きてきた妖怪たちに向かって


『私は二代目の妻ですから。夫の残したものを守る義務があります』


と言った。


(あなたには関係のない世界だったのに)


そう思わずにはいられなかった。


「私ね、この家が大好きなの。だから、他の人と結婚して家を出て行くなんて嫌なの。それに首無さんとも会えなくなるのよ?」


そんなの嫌だわ。

と無邪気に笑う若菜を見て、首無は余計なことを申し訳ありません。と頭を下げた。


「はい、そっちの端を持ってください。」

「はい、若菜さま」

「しわにならないようにしなきゃね。」

「・・・」


てきぱきと慣れた手つきで洗濯物を干していく。

若菜の後ろにそっと近づいてタオルを干していた手を握った。


「わっ。首無さん?」

「若菜さま。私は・・・」

「どうかしました?」

「いえ。その高いところは私がやりますよ。」

「ありがとう。助かるわ」


一瞬、抱き寄せようかと思った。

若菜の後ろに立っているはずのない二代目の姿がちらついてしまい手を引っ込めた。

いい加減、開放して欲しい。

若菜も私も。

あなたという呪縛から解き放たれたい。

そして


(あなたの代わりに俺が若菜さまを幸せにしてやると言うのに)


自分が若菜を縛り付けてしまう前に。

自由にして欲しい。







END
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