WJ系
□後ろ姿にはあの人が
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彼女の役に立ちたいと思っているのに。
ちょっとうな垂れた首無に気付くことなく若菜は嬉しそうに話す。
「私のイメージがくずれちゃうわ」
「・・・若菜様・・・」
「さー。干しましょう!」
「はい。若菜さま」
足取り軽やかに歩き出した若菜の後ろを送れずに歩こうと足を進めかけた首無は若菜の背を見て足と止めた。
うっすらとだが、若菜の背中に先代の影が見えた気がした。
まるでこれ以上近づくなとでも言うように。
(あなたは死んでもなお、若菜様を自由にするつもりはないのですか?)
「首無さん?」
「すみません。今参ります」
「はいっ」
今彼女の笑顔を受けているのは誰だ?
今彼女を支えているのは誰だ?
今彼女と生きているのは誰だ?
(それは俺だ)
今ここにいるのも、彼女の笑顔を受けているのも、支えているのも。
全部、先代ではなく俺なのだ。
首無は子供のように笑う若菜の後ろをゆっくりと歩いた。
「若菜さま。」
「何?」
「・・・ご再婚など、考えてはいないのですか?」
「あら。首無さんもそんな事言うの?耳にタコが出来そうだわ。」
二代目が死んだ後に幹部らから人間との結婚をすすめられたが彼女は一切首を振らなかった。
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