WJ系
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そう佐藤に言われた。
「な・・・そんなこと」
「僕でいいなら話聞くよ?」
このまま一人で抱えるのはしんどいもしれない。
悩みは人に言えば良いと言われたことがある。
「あのね・・・その・・・誰にも言わない?」
「もちろん、僕と若菜ちゃんだけの秘密だね?」
秘密。
そう言われて若菜は顔を紅くしながら鯉伴とのことを話した。
佐藤は大人しく聞いていた。
押し倒されたあたりの話は濁しながら話したが伝わったらしい。
その時だけ、『最低じゃん』と呟いていた。
若菜が話し終えた後に沈黙が続いた。
「ね、若菜ちゃん。」
「・・・?」
「その鯉伴さんって人のこと嫌い?」
「よく考えたらね。大嫌いってわけじゃないの・・・一緒にいたら楽しかったわ。たくさんわがままも言ったもの。でも。・・・恐いなって思ったのも本当なの。」
「うん。でも恐かったんでしょ?もう会いたくはないって思う?」
「会いたくないって・・・」
さよならして、もう会えないってことだ。
あの人と会えない?
もう一緒に帰れない。
それは自分がやめてくれとは言ったが。もう二度と帰れない。
一緒にお菓子も食べれない。
あの神社で二人階段に座って、もう食べることはない。
くだらない話をすることも。
あの大きな着流しを肩にかけてもらうことも。
笑顔を見ることも。
知らない世界を知ることも。
もう、ない。
二度と来ない。
「いいの?」
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