WJ系

□僕と彼の最初の話
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声がする。

ずっと前から聞こえる。

少し高めの声がする。

いつも、髪を撫でてくれる。

手を握ってくれる。

世界とはなんの接点もない自分にとって、ただ唯一の存在。

この手を握ってくれるのは誰だ?

そこにいるのはどんな奴だ?

目を開けば会えるのに。

体は言うことを聞いてくれない。

答えたい。

名前を呼びたい。

抱きしめてみたい。

その目はどんな色なんだ?

ぼんやりとしか聞こえない声がはっきりと聞こえたらそれはどんな声なんだ?

そこには何があるんだ?

言いたい。

伝えたい。

かすかにわかる横にあるぬくもりを確かめたい。

笑うように震えるその体を抱きしめてみたい。


「早く、会いたいな・・・」


そのはっきりとした意味をもった言葉に返したい。

俺だって会いたい。

話したい。

俺はここにいるっていう証明。

はやく起きて、それを確認したい。


(会いたい・・・)


会ったら、絶対に放さない。

だって、起きて最初に目に入るのは俺の証明であるお前のはずだ。

そうだろ?







END
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